2025年1月24日公開
最終更新日:2025年1月26日
カスタマーサクセスの言い換えとは? 用語の意味や役割・目的、カスタマーサポートとの違いをわかりやすく解説
顧客の成功を意味するカスタマーサクセスは、さまざまな背景から注目されている職種です。一方でカスタマーサポートなど似ている用語も多く、違いが分からないという方もいるかもしれません。
本記事では、カスタマーサクセスの役割や目的とは何かに加えて、似ている職種との違いについても解説します。
▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。
カスタマーサクセス(CS)とはどのような意味? 職種としてのCSについても必要な知識を具体的に解説
カスタマーサクセスの言い換えや意味
カスタマーサクセスの言い換えや意味を解説します。
カスタマーサクセスの言い換え
カスタマーサクセス(Customer Success)は、略語の「CS」と呼ばれることがあります。
但し、後述するカスタマーサポート(Customer Support)やカスタマーサティスファクション(Customer Satisfaction)という言葉も「CS」と略されることが多いため、単に「CS」と見聞きしたときにはどの意味か、あるいはさらに異なる意味かなどを状況や場面ごとに確認しておいたほうが良いでしょう。
企業理念や戦略テーマとしての意味
カスタマーサクセスを直訳すると「顧客の成功」という意味で、「顧客を成功体験へと導くための取り組み」を指します。企業理念や戦略テーマで重視するポイントとして、カスタマーサクセスという言葉が使われることも多くなっています。
業務内容や職種としての意味
顧客に対して自社商品やサービスを通じた成功体験を提供し、ひいては自社への利益をもたらす業務を指します。具体的には顧客へ、例えば積極的に資料ダウンロードなどの情報提供を行ったり、セミナー開催、商材を活用するためのサポートなどを展開しながら「商品を買って良かった、サービスを利用して良かった」という顧客にとっての成功に導きます。顧客へ成功体験を与えることで解約を防ぎ、契約継続につなげることがビジネス上の目的です。「カスタマーサクセス職」というように、役職や肩書としても使用されます。
今回の記事では、おもに業務内容や職種としてのカスタマーサクセスについて取り上げます。
カスタマーサクセスの役割・目的
カスタマーサクセスのおもな役割や目的を解説します。
LTV(顧客生涯価値)の最大化
LTV(Life Time Value / ライフタイムバリュー)とは、ある顧客から生涯にわたって獲得できる利益のことです。具体的には、購入した商品やサービスの利用開始から解約までに、自社へもたらした売上や利益の総額がLTVにあたります。カスタマーサクセスは、LTVを最大化する役割を担っています。
旧来からある買い切り型商材の場合には、基本的に商材が買われたときのみの一度きりの利益が発生していたため、購入時がすなわちLTVが発生するタイミングでした。一方で近年型のサブスクリプションのビジネスモデルでは、購入や契約開始から顧客が解約するまで、長きに渡って利益が発生し続けることになります。カスタマーサクセスは、顧客が商材を継続利用してくれるように、情報提供やサポートを行い、顧客の成功を実現させながら顧客満足度を上げて、LTVを最大化します。
継続率の維持
LTVを最大化するために、顧客の継続率を維持するのもカスタマーサクセスの目的です。顧客が継続利用するためには、顧客が商材を十分理解し、使いこなし、価値を感じている状態にしなければいけません。顧客が商材に対する疑問や不安をすぐに解消するためのサポートをカスタマーサクセスで提供します。
たとえば利用者アンケートの実施や聞き取り調査を通じて、カスタマーサクセスは積極的に顧客との接点を持ちます。疑問や不安点の解消にカスタマーサクセスが役立ち、成功体験を与えられる成果を出せたとしたら、顧客との信頼度が上がり、継続率の向上が期待できるでしょう。商材が顧客の業務やビジネス全体にとって必要不可欠・効果的なものとなれば、長期間にわたる継続率の維持が可能となります。
顧客満足度の向上
万が一にも商材への不満が募り顧客満足度が下がると、解約される可能性が高まります。カスタマーサクセスでは、解約を防ぐために顧客満足度を向上させるための取り組みを行います。たとえば購入直後に高い満足度を得られたとして、その高い顧客満足度を長く維持するためには、ニーズに応じた製品の改善や改良も必要です。顧客とコミュニケーションをとって、顧客の要望や不満、活用できない理由などを製品やサービスにフィードバックし、製品の改良につなげるのもカスタマーサクセスの役割のひとつです。
実際に製品の改善を行うのは製品開発部の役割ですが、カスタマーサクセスはその橋渡しを担います。顧客がカスタマーサクセスに率直な要望や不満を伝えた後、欲しかった機能が実際に追加になったり、自分の声がサービスに反映されたりすると、顧客満足度は上がるでしょう。
アップセル・クロスセルによる利用拡大
継続率の維持や顧客満足度の向上を達成できたら、さらなる収益増加のために顧客の利用拡大を狙います。顧客の利用拡大のために行う施策が、アップセルとクロスセルです。アップセルとは、よりグレードの高いサービスへの移行を指し、クロスセルとは別の自社商品・関連サービスの追加購入を指します。
顧客にアップセルやクロスセルを検討してもらったり実際に応じてもらうには、その顧客がすでに自社商材を通じて一定以上の成功体験を得ていることが大前提となります。顧客の利用拡大により、収益が増えることが期待できます。
▼カスタマーサクセスの役割については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
カスタマーサクセスの役割とは? 業務内容やメリット、成功事例をわかりやすく解説
カスタマーサクセスが注目される背景
カスタマーサクセスは近年注目されるようになった新しい職種です。カスタマーサクセスが注目されるようになった背景を解説します。
競争力の強化
現代のビジネスはグローバル化やインターネットの普及を受けて、市場が円熟化しています。どの分野でも、消費者はそれほど探しまわらなくとも、ある一定の品質を持つ製品やサービスの提供が簡単に受けられるようになりました。そのため企業は製品の機能や技術、価格面で優位性を保つことが難しくなり、競合他社と差別化するためには、新しい付加価値を顧客へ提供する必要があります。カスタマーサクセスによるプラスアルファのサービスは新しい付加価値やメリットを顧客に与えられ、企業としての競争力強化につながるでしょう。
SaaSビジネスやサブスクリプションモデルの拡大
市場の円熟化にともなって、顧客は商品の物理的価値だけでなく、商品の利用によって得られる付加価値や顧客体験などが重視されるようになりました。この中で、従来の買い切り型モデルではなく、定額制のサブスクリプション型サービスやSaaSビジネスが拡大しています。
サブスクリプションモデルやSaaSは、長いあいだ顧客に解約されず、継続利用してもらうことではじめて利益につながります。商材やサービスを継続して利用してもらうためには、商材を通じて成功体験を継続的に得てもらい、商材の価値を実感しつづけてもらうことが必要です。そこでカスタマーサクセスが顧客の利用状況から悩みや課題を発掘し、商材を通じた解決方法を提供して成功体験を与えることが求められています。
ツールやシステムの進化と普及
ビジネスにおけるデジタル技術やIT技術が進化し、顧客管理ツール(CRM)やMAツール、SFAツールなどのオフィスオートメーションが導入されるようになりました。データの収集や分析、顧客ひとりひとりのプロセスや状態の管理もシステムツールによって効率的に実行できます。顧客満足度の向上や顧客へ成功体験を与えるための施策を簡単に立案できるようになったのも、カスタマーサクセスが重要視されている理由のひとつです。
▼カスタマーサクセスの市場価値については、こちらの記事をぜひご覧ください。
カスタマーサクセス職の市場価値はなぜ高い? 多くの企業が求めている重要な役割
カスタマーサクセスと似ている職種・用語の違い
カスタマーサクセスと似ている職種や言葉と、カスタマーサクセスとの違いを解説します。
カスタマーサポートとの違い
カスタマーサポート(Customer Support)は顧客側からのアクションに対応してサポートを提供する職種です。たとえば問い合わせ窓口で顧客からの疑問や課題などを聞いて、解決する役割を持っています。
カスタマーサクセスはカスタマーサクセス側から顧客へアプローチして、悩みや課題を抽出したうえで解決します。
ビジネスにおいてカスタマーサポートは受動的な機能であり、カスタマーサクセスは能動的な機能であるという点がそれぞれの大きな違いです。
カスタマーエクスペリエンスとの違い
カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)とは、顧客体験のことです。商材を通じて顧客に感じてもらえる価値や認識を指します。CXと略されます。
カスタマーサティスファクションとの違い
カスタマーサティスファクション(Customer Satisfaction)とは、自社の商品・サービスに対しての顧客の満足度を数値化したものです。顧客満足度とも呼ばれています。略語はCSです。製品開発の現場において従来の生産性や効率主義から、近年では顧客満足度が重要視されるように変化したことから、カスタマーサティスファクションも指標として重要視されるようになりました。
CRMツールでは顧客満足度が指標として取り扱われます。ただし顧客満足度のみを追求してしまうと過剰なサービス競争が発生し、経営に大きな負荷をかけることがあります。顧客満足度を上げることだけを目的にするのではなく、顧客満足度を上げて、その先にある自社の利益につなげる仕組みづくりが重要です。
カスタマーサクセスの業務内容
カスタマーサクセスが担う具体的な業務内容を順に解説します。
顧客への製品・サービスの活用支援
顧客に成功体験を得てもらうために、商材の活用支援を提供します。具体的には以下のようなタイミングで支援を行います。
・サービス提供当初のオンボーディング
・顧客が自走状態になるまでの伴走
・顧客の自走完了後の、さらなる活用方法のアドバイス
顧客はその製品やサービスを使いこなせるようになることで、製品の魅力や強みを実感できます。その結果、成功体験につながり、顧客満足度の向上も実現するでしょう。顧客の契約継続を促し、解約を防ぐためにカスタマーサクセスはさまざまな活用支援を行います。
活用状況のモニタリング
顧客の商材の利用頻度や利用時間などのモニタリングを行います。もし利用頻度が少ない・短い場合には商材が顧客の業務上の運用面でしっかり定着していないなど、なにかしらの問題が起きていると考えられるため、顧客へ状況確認や問題点のヒアリングを実施します。
使い勝手が悪い、機能が不足している、などの課題が把握できたら、製品を日常的に利用してもらうための改善策を提案します。
ユーザーコミュニティの運営
同じ製品やサービスを利用しているユーザー同士が集まるサイトやページ、あるいはオフラインでの会合などがユーザーコミュニティです。製品やサービスの知識や活用方法、トラブルの解決方法などについてユーザー同士でコミュニケーションをとってもらえる、共有の場を提供できます。カスタマーサクセスは、ユーザーコミュニティの運営サポートも行います。
カスタマーサクセスで多く使用される用語の意味
カスタマーサクセスの業務で多く活用されている専門用語の意味を順に紹介します。
カスタマーサクセスマネージャー(Customer Success Manager)
カスタマーサクセス部門の責任者、管理者のことです。メンバーやリーダーよりも多くの業務を担当するぶん、年収も高い傾向にあります。CSMの略語で呼ばれることもあります。
インサイドセールス(Inside Sales)
電話やメール、オンライン会議ツールなどを通じて非対面式で行う内勤型営業のことです。事例や資料などのコンテンツ提示を行いつつ、マーケティング組織から引き渡されたサービス契約前の見込み顧客へのアプローチを実施します。
フィールドセールス(Field Sales)
顧客と対面して行う外勤型営業のことです。顧客のもとへ足を運んで商談を行う従来型の営業手法はフィールドセールスに該当します。インサイドセールスが信頼関係を構築して確度を高め、商談までつなげた見込み顧客に対して、フィールドセールスは対面で最終的な商談を行い受注につなげます。
BtoB(Business to Business)
企業間ビジネス、法人向けビジネスのことです。B2Bと略されることもあります。
BtoC(Business to Consumer、Business to Customer)
企業が一般消費者を対象に行うビジネス(消費者向けビジネス)を指し、B2Cと略されることもあります。
オンボーディング(Onboarding)
顧客が新規の商材やサービスを導入する工程・フェーズのことです。商材やサービスの定着のために、カスタマーサクセスがサポートを行います。
アダプション(Adoption)
顧客が新規で導入した商材やサービスを運用するフェーズのことです。オンボーディング後、スムーズにアダプションへ移行してもらうために、カスタマーサクセスは顧客と伴走してサポートを行います。
エクスパンド(Expand)またはエクスパンション(Expantion)
顧客が商材やサービスの利用を社内で促進し、さらに利用拡大するフェーズのことです。カスタマーサクセスはアップセル、クロスセルの提案を行うタイミングに当たります。
ハイタッチ(High Touch)
いわゆる大口顧客に対して行うアクションです。たとえば専任の担当者を設けたり、取引条件を譲歩したりなどの対応がハイタッチに当たります。
ロータッチ(Low Touch)
ハイタッチ未満の小規模の顧客に対して行うアクションのことです。
テックタッチ(Tech Touch)
テクノロジーを活用して顧客に行うアクションのことです。自動配信メールの活用などが該当します。ロータッチよりさらに小さい規模の顧客に対して用いられます。
ダウンセル(Down Sell)
通常よりも下位の商材を提案し購買してもらうことです。アップセルと反対の意味があります。
チャーンレート(Churn Rate)
解約率のことです。カスタマーサクセスでは、解約率を抑制するための取り組みも行います。
エンゲージメント(Engagement)
相互の信頼関係や親密さのことです。顧客エンゲージメントを高めるのもカスタマーサクセスの役目のひとつです。
ヘルススコア(Health Score)
顧客が今後も継続してサービスを利用してくれるかを定量的に表した指標のことです。
ネットプロモータースコア(Net Promoter Score)
顧客のロイヤリティを測る指標のことです。企業やブランドに対して、顧客が持っている親密度を数値化したものが該当します。NPSという略語が多く使用されています。
カスタマーサクセスとして活躍するためのポイント
カスタマーサクセスは近年登場した比較的新しい職種のため、多くの企業で経験者が少なく、未経験からでも転職可能な職種です。将来性も高いといえるでしょう。カスタマーサクセスの経験を既に持っていたら、その知識や実績を活かして年収アップやキャリアアップも実現できます。転職先を探したり、必要なことを相談したりするのには、カスタマーサクセスに特化した転職エージェントの利用がおすすめです。
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カスタマーサクセスは重要な役割を持つ職種
本記事ではカスタマーサクセスという言葉の言い換え、役割や目的、似ている職種との違いなどについて総合的に解説しました。カスタマーサクセスは重要な役割を持つ新しい職種です。市場ニーズやビジネスモデルの変化により、今後も高い重要性や将来性が見込まれるでしょう。
9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスでは、カスタマーサクセス経験者などカスタマーサクセス業務への理解が深いキャリアアドバイザーが求職者様の経験にフィットする業務内容の求人を提案するなどカスタマーサクセス特化型だからこそ可能な転職支援を行います。
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