2025年1月24日公開
最終更新日:2025年1月24日
投稿者:9Eキャリアカスタマーサクセス編集部

カスタマーサクセスの役割とは? 業務内容やメリット、成功事例をわかりやすく解説

カスタマーサクセスとは、顧客の成功を目指す取り組み、および職種です。自社の商材を通じて顧客へ成功体験を与え、利益を最大化するために、さまざまな利用支援やサービスを提供します。とはいえ、大まかな意義としては分かっていても具体的な業務内容や企業にとっての導入するメリットが分からないという方もいるかも知れません。

 

本記事では、カスタマーサクセスの役割や業務内容、企業が導入するメリット、企業の成功事例などについて解説します。カスタマーサポートなど似ている職種との違いも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。

カスタマーサクセス(CS)とはどのような意味? 職種としてのCSについても必要な知識を具体的に解説

 

カスタマーサクセスとは

「SUPPORT」と並べられたブロック

カスタマーサクセス(customer success)とは、顧客へ成功体験を与える取り組みや職種を指します。具体的には自社の利益優先ではなく、顧客の成功の先にある成果として自社の利益や成功につなげる、という考え方のことです。顧客の成功のために、積極的、能動的にこまやかなアプローチやコミュニケーションを行います。

 

カスタマーサクセスとほかの職種との違い

カスタマージャーニーシート

カスタマーサクセスと似ている職種のそれぞれの意味や違いを解説します。

 

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサポートもカスタマーサクセスと同じく顧客へさまざまな支援を行う職種です。カスタマーサクセスが顧客の成功のために能動的なアプローチやサポートを提供するのに対して、カスタマーサポートは顧客側からの問題提起や悩みの相談、クレームが生じたときに対応する、つまり受動的な支援を行うという点が異なります。

 

カスタマーサクセスは将来的に発生する可能性のある顧客の課題やニーズまでを予測し、先回りしたアプローチを行います。一方でカスタマーサポートは常時対応窓口を設置したうえで、顧客側に要望や疑問が発生した際に都度対応を行うということが基本となります。

 

また、カスタマーサクセスは顧客の成功を通じて解約防止や顧客の商材利用拡大を実現し、企業の利益に貢献するのがゴールです。カスタマーサポートは顧客サポートを効率的に行うことで、サポートコスト削減を目指す役割を持っています。

 

これらの職種はいずれも顧客ロイヤリティの向上を目的としていますが、顧客へのアプローチ方法と最終的な目的が異なるのです。

 

営業との違い

カスタマーサクセスは、営業職が商談後、取引が成立した顧客との関係を維持するための活動を行います。営業は顧客の課題やニーズに応じて、解決策として自社の製品やサービスを提案、販売するのが役割です。

カスタマーサクセスは営業職から引き継いだ顧客の課題の解決、ニーズの充足のために商材を通じての解決サポートを行います。主な役割は、顧客との関係を継続するための活動です。

 

尚、営業にはマーケティングから引き継いだ見込み顧客の確度を上げるインサイドセールスと、インサイドセールスが確度を上げた顧客へ商談を行い契約を締結するフィールドセールスが存在します。

 

カスタマーサクセスは営業が取引を成立させた顧客へ継続的なサポートを行い、製品やサービスを通じて成功体験を与え、その後の契約更新や利用拡大、売上アップにつなげます。職種としての分類は同じ営業職ながら、利用開始後の継続利用を目的としているのが営業職との大きな違いです。

 

カスタマーサクセス戦略が特に重視される分野や企業

ビルの外観

カスタマーサクセス戦略は、近年ではけっして特定の分野や企業、事業や業界、ビジネスモデルだけに特化した戦略というわけではなく、実にさまざまな分野で導入されている仕組みです。

ただし、カスタマーサクセスという仕組み・役割の黎明期から親和性が高かった分野や、顧客との密接性が求められる分野などでは、カスタマーサクセス戦略が特に有効といえます。

以下で、代表的な分野や企業タイプなどを解説します。

 

サブスクリプション型のビジネスモデルを採用している企業

カスタマーサクセス戦略が特に有効な企業として代表的なのは、サブスクリプション型のビジネスモデルを採用している企業です。たとえば、以下のようなサービスや製品を提供している企業が該当します。

・月額制のSaaS

・定期購買型のECサイト

・月額制のソフトウェア、配信サービス など

 

サブスクリプション型ビジネスは、顧客の継続的な契約や利用によって初めて、しっかりとした利益がもたらされます。新規顧客獲得よりも既存顧客の継続利用がより重視されるため、カスタマーサクセスによる戦略がとても有効です。

 

競合他社の多い市場

競合の多い市場では、顧客側がかんたんに類似製品やサービスへ乗り換えできます。製品やサービスそのものの機能性や品質だけでは、必ずしも競争優位性が生み出せません。顧客から選ばれ続ける企業となるためには、顧客へ製品やサービスを通じた成功体験や付加価値を与えることが不可欠です。カスタマーサクセスで提供できる顧客の成功を通じて、顧客満足度の向上や信頼の構築につなげられれば、競合他社よりも優位性を保てるでしょう。単純な価格競争にも巻き込まれにくくなり、コスト削減や価格低下などの必要性も発生しにくくなります。

 

顧客のニーズが多様化・高度化している市場

製品やサービスが高度化している市場や分野では顧客からの要望が多様化、複雑化する傾向にあります。顧客からの高いニーズに応えるために、企業は詳細かつ丁寧なサポートが求められます。カスタマーサクセスが顧客の意見や声を直接ヒアリングし、フィードバックを行うことで製品開発やサービス改善へ活用できるでしょう。成長・変化のスピードが速い市場における、顧客の千差万別なニーズにも柔軟に対応可能です。

 

データを経営判断や成長に活用している企業

顧客データを活用した経営判断や成長を重視する企業にとって、カスタマーサクセスは戦略的に有効な手法といえるでしょう。カスタマーサクセスの顧客とのやりとりから、品質の高いフィードバックが得られて製品やサービスの開発・改善に活かせるためです。顧客データに基づいて顧客ニーズの今後の予測や、最適なタイミングでの提案が可能となります。

 

カスタマーサクセスの役割

パソコンのグラフ画面

カスタマーサクセスが顧客の成功を実現するために、担っている主な役割を解説します。

 

オンボーディング

オンボーディングとは、顧客の製品やサービスの初期導入・活用を支援するプロセスのことです。顧客に成功体験を得てもらうためには、初期段階でスムーズに製品やサービスを導入してもらい、定着・活用してもらうことが必須となります。初期段階で顧客が製品やサービスを活用できない、完全に定着しないといった状況が生じた場合、早期で解約されてしまう可能性が高くなります。カスタマーサクセスでは、オンボーディングとして以下のような取り組みや支援を行います。

・製品やサービスの講習会

・Webセミナーの開催

・デジタルガイドの活用提案 など

 

オンボーディングを成功させて、顧客と継続的な関係を構築するのもカスタマーサクセスの役割です。

 

適切なタイミングでのアプローチやフォロー

カスタマーサクセスには、顧客へ以下のようなタイミングで適切なアプローチやフォローを提供する役割があります。

・契約更新時

・システムやツールの機能変更リリース時

・システム、ツールの新機能搭載時 など

 

製品やサービスに変化があったときには、顧客側の理解が追いつかないことによる悩みや疑問から不満が出やすく、解約につながることがあります。そこでカスタマーサクセスから、新たな使い方や操作方法、活用方法について迅速にサポートを行うことで、解約防止につなげることが重要です。機能の追加や上位プランの推奨など、利用拡大のためのアップセルやクロスセルの提案も行いやすいタイミングです。

 

顧客との長期的・継続的な関係性の構築

顧客と長期的、継続的な関係を構築することで、解約率の抑制やLTVの最大化を行うのが、最も重要なカスタマーサクセスの役割です。都度顧客の状況に応じて支援を行うことで、長期的、継続的な関係を構築できます。顧客と信頼関係を持つことで、顧客が商材を通じて何らかの問題が発生したときにも、まずはカスタマーサクセスを頼り、使い続けるための相談や問い合わせをしてくれるようになるでしょう。

 

プロダクトへ改善点をフィードバック

商材へ顧客の意見や声を反映し、開発部門へフィードバックを行い改善につなげるのも、カスタマーサクセスの重要な役割です。顧客とのコミュニケーションをとる中で、製品やサービスの以下のような課題に関する情報を収集します。

・使いにくい

・機能が分かりにくい

・機能でカバーできる範囲が狭い

・操作性が悪い

・自社内のほかのシステムやツールと連携が取りにくい など

 

顧客から情報を収集し、顧客管理システムやツールなどを活用しながら、分析を行います。分析結果から改善点を発掘し、プロダクト部門へ共有します。顧客がより使いやすく成功体験が得やすい商材の実現につながるほか、顧客が「自分の声や意見を聞き流さず、しっかりと反映してくれた」と感じることで、顧客満足度やロイヤリティの向上も期待できるでしょう。

 

カスタマーサクセスの主な業務内容

PCデスク周辺

カスタマーサクセスが顧客の成功のために行う、主な業務内容を解説します。

 

製品・サービスの定着促進

カスタマーサクセスは、導入後顧客の製品やサービスの利用や定着を促すために以下の業務を行います。

・オンボーディング

・ユーザートレーニング

 

顧客が商材利用にあたって課題や悩みを持っていないかを確認し、積極的にサポートを提供します。顧客が商材を最大活用できるための活動を行い、顧客の成功体験へつなげます。

 

利用状況のモニタリング

製品やサービスの導入後は、顧客の利用頻度や利用時間を定期的にモニタリングします。利用頻度や時間に応じて追加のサポートを行うのも業務のひとつです。

 

たとえば利用頻度が低い顧客に対して、利用を妨げている原因を把握するためのヒアリングを担当者に依頼したり、具体的な活用方法をまとめた資料やコンテンツを提供したりなど解約を防ぐためのアプローチを行います。顧客が安定して商材を利用しているときには、頻繁に使用している機能の特定や潜在的なニーズをヒアリングしたうえで、アップセルやクロスセルといった利用拡大に導くのもカスタマーサクセスの業務です。

 

アップセル・クロスセルの実施

顧客の状況やニーズから、最適なタイミングでのアップセル・クロスセルの提案を行います。既存の商材と関連する新たな価値を提案できるため、顧客のビジネス成果を最大化できるでしょう。顧客の利用拡大による自社の収益向上にも貢献します。

 

問い合わせ対応

顧客からの問い合わせへ対応するのも業務のひとつです。顧客の課題や問題をスムーズに解決すれば顧客満足度や信頼度が直接的に上がりやすいため、適切なサポートをスピーディに提供します。

 

顧客の離脱(チャーン)防止

顧客とのコミュニケーションの中、または分析した行動やフィードバックから離脱の兆候や理由を見つけ、すぐに解決策を講じるのもカスタマーサクセスの業務です。離脱リスクを迅速に解決することで、顧客満足度の維持につなげます。

 

セミナーやコミュニティ運営

顧客向けセミナー・ウェビナーの開催や、無料でダウンロードしてもらえるコンテンツや資料の管理、顧客同士のつながりができるユーザーコミュニティの運営などを行います。

 

セミナーやウェビナーでは、顧客の課題やニーズに対して、解決策として製品やサービスの活用方法を様々なテーマで提供します。顧客の疑問や困りごとへリアルタイムに回答できるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。セミナーやウェビナー、コンテンツを通じて顧客は製品やサービスを有効活用できる知識を得られます。

 

ユーザーコミュニティは、顧客同士が経験やノウハウを共有し相互に教えたり、学んだりするページやサイトです。コミュニティ内で顧客同士が交流をすることで、顧客は以下のようなメリットを得られます。

・製品やサービスについての理解が深まる

・自社だけでは解決できなかった課題が解決できる

・新たな活用方法を発見できる

・コミュニティで人脈を広げられる

・商材を使い続けるモチベーションがアップする

 

コミュニティをカスタマーサクセスが形成、運営することで、解約率の低下やLTVの向上が期待できます。

 

成果レポートの作成

カスタマーサクセスでの活動成果や対応が顧客に与える影響を定量的に測定し、定期的にレポートを作成します。レポートの結果からKPIの設定と評価を通じて、戦略の改善点や次のステップを策定するのもカスタマーサクセスの業務です。

 

カスタマーサポートの成果を可視化することで、目標達成のための施策や方向性、進捗が把握できる他、社内の関係者にカスタマーサクセスの重要性を効果的に伝えることにも役立つでしょう。

 

カスタマーサクセスを導入するメリット

サムズアップ

カスタマーサクセスを導入することで得られる、企業側の具体的なメリットを解説します。

 

顧客体験の向上

カスタマーサクセスを実施することで、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)の向上に有効です。たとえば商材の導入時、早期のタイミングでオンボーディングを実施すると、顧客側の企業内でかんたんに商材の利用や活用ができる状態となり、スムーズな定着につながります。商材を通じての課題解決や目標達成などの具体的な成果を上げられるようになり、顧客体験の向上が実現するでしょう。

 

競合他社との差別化

特に商品の品質や価格に差がない市場や分野の場合、競合他社との差別化には商品そのものではなく商品を通じた顧客体験や付加価値の提供が欠かせません。カスタマーサクセスの活動によって顧客からの信頼を得られれば、競合他社との明確な差別化につながるでしょう。追加の関連サービスやまったく別のサービスを検討する際にも、他社よりも自社を選んでもらえる可能性が高くなり、ビジネス上の優位性を高められます。

 

解約の抑制

SaaSやサブスクリプションビジネスの商材の場合、顧客の継続利用が利益につながるため、解約率(チャーンレート)の低減につとめなければいけません。商材の解約を防ぐには、顧客満足度を高めることが重要です。カスタマーサクセスが顧客の課題をスピーディに解決したり、悩みへ迅速に対応したりといったことで、顧客満足度が上がります。商材を通じた成功体験にもつながりやすくなり、解約率の低減も期待できるでしょう。

 

LTV(顧客生涯価値)の向上

LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)とは自社との取引開始から終了するまでの期間に、顧客ひとりあたりがもたらす利益の指標のことです。カスタマーサクセスの活動を通じて商材を長期的に継続利用する顧客が増えれば増えるほど、LTVが増加し会社の利益につながります。

 

アップセル・クロスセルによる利益の向上

カスタマーサクセスによって顧客の信頼度や満足度が向上すれば、契約更新時に継続してもらえる可能性が高まります。さらに継続契約に加えて、商材にアップグレード機能の追加、関連サービスの追加購入が実現する可能性も高まるでしょう。結果、アップセルやクロスセルによる利益向上につなげられます。

 

顧客の求める新商品やサービスの開発

カスタマーサクセス活動によって顧客の実際的なニーズや困りごとが把握でき、既存商品の改善や新商品開発へのフィードバックに活かせます。

 

カスタマーサクセスで設定されるKPI

チャートの画面

カスタマーサクセスの取り組みで成果を確実に上げるには、目標までの方向性の把握や進捗の可視化が必要です。そのために、KPIを設定します。カスタマーサクセスの取り組みにおいて、KPIとして設定される主な指標を紹介します。

 

LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)

一般的に新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持の方がコストはかかりません。また、既存顧客はリピートや追加サービス利用などの利益も生みやすいといえます。LTVが高ければ、すなわち顧客との継続的な関係性を築けているということになるため、KPIとして設定されます。

 

解約率(チャーンレート)

解約率は、一定期間内にサービスの利用をやめた顧客の割合を算出した指標です。期間開始時の総顧客数に対する期間内の解約数の割合が出されます。解約率が低ければ、顧客が商材に対して継続的に価値を感じている、つまりカスタマーサクセスで成果が出せているということを意味します。

 

アップセル率・クロスセル率

全顧客に対する、アップセルとクロスセルが成功した顧客の割合です。アップセル率とクロスセル率が高いと、カスタマーサクセスが顧客の要望や悩み、課題を深く理解して、適切なタイミングで提案ができていると評価できるでしょう。

 

顧客維持率(リテンションレート)

顧客維持率は、一定期間中に取引を継続している顧客の割合を算出した指標です。一定期間内における、顧客ロイヤリティを維持している顧客数の目安となる指標で、解約率とは対局にあります。顧客維持率が高ければ、顧客が長期的かつ継続的に商材へ価値を感じ続けていると判断できるでしょう。

 

平均使用時間

平均使用時間は、顧客が自社サービスの活用に費やしている時間を算出した指標です。ソフトウェアやアプリケーションなどのサービスにて、カスタマーサクセス活動のKPIとして多く活用されます。使用時間が長ければ長いほど、自社商材が顧客の企業に定着していること、価値を持たれていることを意味します。

 

NPS(Net Promoter Score)

NPSは、いわば顧客ロイヤルティを数値化したものです。例えば「この企業を、親しい人や同僚におすすめする可能性はどのくらいありますか?」という質問をアンケートで収集することによって測定できます。NPSが高ければ顧客が自社のサービスを他者へも推奨するほどに気に入っているという可能性が高くなり、カスタマーサクセス活動がうまくいっていると解釈できます。

 

CSAT(Customer Satisfaction、顧客満足度スコア)

CSATは、顧客が製品やサービスについてどの程度まで満足しているかを測る指標です。顧客に対して簡単なアンケートを実施し、得られた回答から満足度を数値化して評価します。CSATは、カスタマーサクセスが顧客の期待に応えられているかを客観的に判断できる点が特徴です。カスタマーサクセス活動の改善に向けた具体的な施策やアクションが把握できます。

 

カスタマーサクセスで活用される主なツール

PCのアプリ画面

カスタマーサクセスの取り組みは、ITツールを使うことで効率化でき、より多くの成果も期待できます。カスタマーサクセスの現場で活用されることの多い、主なツールと特徴を解説します。

 

チャットボット

チャットボットとは、インターネット上で24時間365日稼働し、顧客への質問や問い合わせに自動応答するシステムです。AIを活用して顧客の意図を理解したうえで適切な回答を行えるほか、必要に応じて人間のオペレーターへの引き継ぎも実施します。顧客からの、自由入力の質問や問い合わせへもリアルタイムで一次回答できるため、顧客への初期対応が効率化できるでしょう。あわせて人間によるカスタマーサクセスを複雑な質問や問い合わせに集中することで、サポートの品質向上と効率化が実現します。

 

オンボーディングツール

オンボーディングツールは、新規顧客や既存顧客が商材をスムーズに利用し、定着するために支援するツールです。ステップバイステップのガイダンスや、インタラクティブなチュートリアルといった、顧客の商材導入初期段階でのつまづきを防ぐ様々な機能が搭載されています。顧客の習熟度を高め、製品の価値を最大限に引き出せるでしょう。

 

CRMシステム

顧客データを一元管理できる、顧客管理システムです。顧客接点に関係するデータとして以下を管理できます。

・契約情報

・コミュニケーション履歴

・利用状況 など

 

顧客の全体像を把握できるため、顧客ごとの適切なタイミングでの施策実施も容易になります。

 

カスタマーサポートツール

顧客からの問い合わせを効率的に管理できるツールです。質の高いサポートを提供するための以下の機能が搭載されています。

・チケット管理

・ナレッジベース

・サポート履歴

・マルチチャネル対応 など

 

顧客からの問い合わせ内容や対応履歴の一元管理は、カスタマーサクセス活動改善のための貴重な情報源となります。

 

カスタマーサクセス管理プラットフォーム

CRMと連携することで顧客データを一元管理し、顧客の状況を可視化できるツールです。役割が似ているツールにカスタマーサポートツールがあります。カスタマーサポートツールは顧客からの日々の問い合わせ対応に焦点を当てているのに対して、カスタマーサクセス管理プラットフォームは、顧客の長期的な成功をサポートするためのツールと定義されています。

 

カスタマーサクセス管理プラットフォームには以下の機能があります。

・顧客の利用状況の可視化

・解約リスクの予測

・KPIの管理

・アップセル、クロスセル機会の見極め など

 

顧客のライフサイクル全体にわたっての、計画的な支援が実現します。

 

カスタマーサクセス導入のステップ

人の足と矢印

ここでは、カスタマーサクセス組織を社内に導入するためのステップを解説します。

企業の経営者の方だけでなく、カスタマーサクセス導入当初の企業へ転職したいと考えている方もぜひ参考になさってください。

 

支援範囲を明確化する

カスタマーサクセス活動に割り当てできるリソースには限りがあります。人的リソースの配分を最適化するために有効なのが「タッチモデル」の採用です。タッチモデルはLTVなどの指標を軸にして、以下の3つの階層に顧客を分けて支援を行う手法を指します。

 

・ハイタッチ:大口顧客。人的リソースをもっとも多く投入し、マンツーマンでの手厚い個別支援を行う

・ロータッチ:中小規模の顧客。ハイタッチと、後述のテックタッチの中間ぐらいの規模で人的リソースを投入し、テクノロジーも活用しながら1対多数のフォローを提供

・テックタッチ:見込み顧客を含めた、小規模の大人数が対象。人的リソースの投入を抑え、テクノロジーを活用した半自動的なサポートをメインに支援を行う

 

チームを編成する

実際にカスタマーサクセスの活動を行う人材をアサインしてチームを編成します。メンバーは専任である必要はありません。たとえば導入や活用の支援を行うメンバーが、セミナー開催やユーザーコミュニティ形成などを兼務することもあり、柔軟な編成が可能です。自社の状況に応じて検討しましょう。

 

<h3>業務フローを定義する</h3>

支援範囲と具体的な人選が明確になったら、時系列ごとに整理してカスタマーサクセスの業務フローを定義します。

 

▼カスタマーサクセスの業務フローやプロセスについては、以下の記事でくわしく解説しています。

カスタマーサクセスの業務プロセスとは? 組織化のポイントや企業の成功事例を解説

 

チームの目標(KPI、KGI)を設定する

カスタマーサクセス業務を明確な目標を持ちながら遂行するために、KPIおよび、チームの最終目標(KGI)を設定します。

 

ツールの導入を検討する

カスタマーサクセスチームの業務効率化のために、ツールの導入を検討します。ツールの選定時には、以下の要素を踏まえておくと良いでしょう。

・チームの目標

・顧客支援で実現したいこと

・予算

・ほかのシステムとの連携

・長期的な運用の可否

・操作性

 

ツールの導入後は定期的に運用状況の評価を行い、必要に応じて既存ツールの見直しやツールの追加導入を検討するのがおすすめです。

 

社内の教育体制を整備する

カスタマーサクセスメンバーを育成する教育体制を整備します。顧客の成功を円滑に実現するためには、実際に支援活動を行うこととなる個々のメンバーに専門的なスキルや知識が必要となるためです。

 

教育体制の例として、習得プログラムの導入があります。たとえばチームに新しく加わったメンバー向けには、まずは自社の製品やサービスの仕様を正しく理解させるための習得プログラムを導入するのが良いでしょう。プログラムでは習得すべき項目を必要性の高い順にチェックリストとして作成しておき、先輩社員であるトレーナーの支援のもとでそれぞれの項目をひとつずつ検証・理解させます。新メンバーが既存メンバーと同等の知識や利用スキルを得るまで、繰り返して実行します。

 

カスタマーサクセスを成功させるポイント

「GOAL」と並べられたブロック

カスタマーサクセスで成果を上げるために覚えておきたいポイントを解説します。

 

CS Opsを導入する

CS Ops(カスタマーサクセスオペレーション)とは、カスタマーサクセス活動をオペレーション・システムの面からサポートする業務です。CS Opsに取り組むことで、顧客一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな対応が可能となります。顧客対応プロセスやコミュニケーションの仕組みづくりなどのカスタマーサクセスの課題が解決し、カスタマーサクセス活動の効率化、高品質化につながるでしょう。

 

適切なツールを選定する

カスタマーサクセスを実施するには、各顧客に注目し寄り添いながら支援をする必要があるものの、そのぶん多くの負担と手間がかかります。適切にツールを活用することで、業務の効率化が可能です。導入したツールは定期的に評価を行い、追加や見直しも検討しましょう。

 

経営層が先頭に立ち関わっていく

経営層が先頭に立ってカスタマーサクセスに取り組むことで、カスタマーサクセスの社内での認知が高まります。カスタマーサクセス業務の認知度や注目度が上がることで、存在意義を正しく認められ、他部署との連携もとりやすくなるでしょう。

 

カスタマーサクセスの成功事例

高層ビルの外観

すでにカスタマーサクセスを取り入れて成功をおさめている企業も多くあります。幅広い業種から、カスタマーサクセスに成功している企業の事例を紹介します。

 

セールスフォース・ジャパン

セールスフォース・ドットコムの日本法人であるセールスフォース・ジャパン社では、役割や業務内容に応じて、複数のカスタマーサクセスの役職を設けています。カスタマーサクセスの概念を提唱し、誕生させた企業だからこそ多くの顧客との関係継続と利益の向上に成功しています。非営利団体からエンタープライズ企業まで、業種や職種を問わない多くの企業や組織を成功に導いています。

 

ビジネス向けチャットツール「Slack」と自社のService Cloudを連携させることで、カスタマーサクセス担当者が関係者とともに顧客の悩みや課題へ対応する「スウォーミング」を実現。解決時間の短縮に成功しています。またナレッジを効果的に活用することで、顧客対応の質の向上と、新人担当者の導入研修のスピードアップを両立させています。

 

サイボウズ

「kintone」をはじめとしたSaaSビジネスを多角的に展開するサイボウズ社では、クラウドソフトがオンプレミス型のソフトの売上を上回ったことから、2024年1月より本格的にカスタマーサクセス部門を立ち上げています。

 

開発者向けコミュニティとして存在していた「kintoneコミュニティ」を、さらにユーザー向けコミュニティとしても運営拡大し注力することで、既存ユーザーと新規ユーザーの接点作りやファン化にもつなげています。ユーザー向けの活用支援セミナーは、6回の開催で計610人が参加したとのことです。

 

オンボーディング強化、ハイタッチやロータッチなどのフェーズをほかの部門と連携しながら同時進行で行っているという点が、サイボウズのカスタマーサクセスの特徴です。

 

メルカリジャパン

フリマアプリ「メルカリ」を展開するメルカリジャパン社では、「心に残る顧客体験」を提供するために多角的に顧客の声を収集できる仕組みを取り入れています。収集した顧客の意見や声の中から全体に最適化できるものを抽出し、プロダクトの改善に積極的に活用している点が特徴です。プロダクトの改善結果と改善のもととなった顧客からの意見は公表し、ユーザー全体へ共有することで顧客満足度の向上を実現しています。

 

顧客の課題やニーズを把握するための「合宿」も随時開催されています。出品者、購入者と利用機能別にチーム分けをしたうえで、顧客が求めているものを把握するためのディスカッションを繰り返しています。その結果「住所を知られたくない」「配送伝票を書くのが面倒」といった、具体的な顧客の課題やニーズを掘り出し、プロダクトの改善に取り入れています。

 

カスタマーサクセスは顧客の成功と企業の利益を担う職種

カスタマーサクセスの役割や業務内容、似ている職種との違い、導入するメリット、企業の成功事例などをまとめて解説しました。

 

カスタマーサクセスは顧客へ成功体験を与えることで、企業の継続的な利益やLTVの向上を担う職種です。SaaSやサブスクリプションモデルだけでなく、幅広い業種や業界で、カスタマーサクセスが求められているといえるでしょう。

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