2025年1月20日公開
最終更新日:2025年1月26日
投稿者:9Eキャリアカスタマーサクセス編集部

カスタマーサクセスの業務プロセスとは? 組織化のポイントや企業の成功事例を解説

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、利益を上げるために顧客の成功体験を目指し、サポートやアプローチを行う職種です。カスタマーサクセスは比較的新しい職種でもあり、社内で組織化や業務プロセスを確立していないという企業もまだまだ多いかもしれません。

 

本記事では、カスタマーサクセスの具体的な業務プロセスや、組織化のためのポイントを解説します。現にカスタマーサクセスとして活躍されている方だけでなく、これからカスタマーサクセスへの転職を検討されている方も全体像の把握にぜひお役立てください。企業の成功事例なども紹介しています。

 

▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。

カスタマーサクセス(CS)とはどのような意味? 職種としてのCSについても必要な知識を具体的に解説

 

THE MODELにおけるカスタマーサクセスの役割

オフィスのデスク

カスタマーサクセスは下記でご紹介する「THE MODEL」における、営業プロセスのひとつです。THE MODELとカスタマーサクセスの関係、ほかの職種との関係などを順に解説します。

 

THE MODELとは

「THE MODEL」とは、セールスフォース社が提唱した営業プロセスモデルです。営業プロセスを以下の4段階に分割し、新規の顧客獲得から継続的な顧客の定着まで一貫した営業活動を実施することを目的としています。

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス
  • カスタマーサクセス

THE MODELによって、営業部門全体が顧客に対して最適かつ快適な顧客体験を、一貫した考えのもと与えられるのです。

 

THE MODELの各プロセスとカスタマーサクセスの関係

THE MODELにおいて、カスタマーサクセスは4段階目のプロセスにあたります。ほかの営業プロセス(および職種)とカスタマーサクセスの関係や違いを、THE MODELのプロセスに沿ってそれぞれ解説します。

 

マーケティングは、潜在顧客をターゲットとする最初のプロセスです。潜在顧客から見込み顧客(リード)を獲得し、顧客層を拡大します。

 

THE MODELにおけるマーケティングは、リードの獲得段階によって顧客をグループ分けすることが大きな役割です。ターゲットの市場や顧客のニーズを分析し、顧客のグループやステージに応じた以下のような効果的なマーケティング戦略を立案し、実行します。

・広告

・プロモーション

・ブランド戦略など

 

インサイドセールスは、内勤型営業とも呼ばれる職種です。マーケティングから引き渡された見込み顧客について、購買意欲を高めるために育成、選定するプロセスを担当します。リモートやオンライン会議ツール、電話やメールといった非対面の手法で顧客とコミュニケーションをとるのが特徴です。おもに製品やサービスの魅力を伝えて、顧客のニーズの充足や課題解決のための提案を行います。

 

フィールドセールスとは、外勤型営業とも呼ばれる職種です。インサイドセールスが育成、選定し確度が上がった顧客に対して、対面での商談、契約締結、取引成立といったプロセスを担います。顧客の持つ課題やニーズを把握し、商材を通じての適切な解決策を提案します。新規の顧客との信頼関係を構築する役割も担っているのが特徴です。

 

カスタマーサクセスは、THE MODELの中で最後のプロセスに当たります。顧客の成功体験を支援する役割を持つのが特徴です。インサイドセールスやフィールドセールスが受注、契約を締結した新規の顧客に対して、製品やサービスの導入後の支援を提供します。顧客の具体的な疑問や悩みを解決し、商材を通じての成功体験を提供するために以下の業務を行います。

・商材導入のサポート

・ヘルプデスク

・操作方法や機能説明、トレーニングなどのサポート

 

カスタマーサクセスは顧客とより深く、継続的な信頼関係を構築するために、積極的に接点を持ち続けます。顧客へ成功体験を与えることで商材の解約防止と継続的な契約、顧客満足度やLTVの向上につなげるという目的をもって運用されるのが、カスタマーサクセスです。企業の収益に直結する、THE MODELの中でも特に大切なプロセスといえるでしょう。

 

▼カスタマーサクセスが担う役割については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

カスタマーサクセスの役割とは? 業務内容やメリット、成功事例をわかりやすく解説

 

カスタマーサクセスのプロセスにある4つのフェーズ

チェックリストとマーカー

カスタマーサクセスのプロセスには、大きく分けて4つのフェーズがあります。プロセス解説のまえに覚えておきたい、4つのフェーズについてまず解説します。

 

オンボーディング

オンボーディングとは、顧客の商材導入支援フェーズのことです。新しい製品やサービスの導入初期は、操作方法や機能の活用面で不満やトラブルが起こりやすくなっています。カスタマーサクセスは、導入直後向けのセミナーやダウンロード資料などのコンテンツ作成と提供といったオンボーディングプロセスを通して商材の定着を促し、早期解約を防ぎます。

 

アダプション

アダプションとは、顧客の商材定着支援フェーズのことです。早期解約防止策の次の段階として、継続利用のために、より深い使い方や活用のアレンジ方法なども支援し、顧客の本格的な運用定着を促します。カスタマーサクセスでは、顧客へのヒアリングや実際の活用状況に応じたデータ収集と測定を行い、活用方法や類似した業種での事例紹介など、顧客の求めに応じた細かな情報やフォローを提供します。

 

エクスパンション

エクスパンションとは、自社サービスの利用範囲を拡大してもらうフェーズのことです。顧客の視点に立って、機能追加や他のサービスとの連携、上位プランのおすすめといった、アップセルやクロスセルの提案を行います。

 

チャーン

チャーンとは、顧客がサービスや契約を解約するフェーズです。カスタマーサクセスの活動目的のひとつに解約率を下げることがありますが、解約をゼロにするということは不可能であるため、このフェーズにも対応します。解約が発生したら、今後のサービス改善や防止策へ活かすために解約理由や改善ポイント、要望などのヒアリングを行い、商材やサービスへのフィードバック、反映を行います。顧客の解約理由によっては、顧客のニーズに合うほかの自社製品をあらためて提案し、契約に結びつけることも可能です。

 

カスタマーサクセスを実現させる業務プロセス

PLANの文字

ただ漠然と、顧客とコミュニケーションをとり続けるだけではカスタマーサクセスは実現できません。カスタマーサクセスを実現させるための業務プロセスを順に解説します。

 

顧客像の理解と整理

カスタマーサクセスを実現するために、ターゲットとする顧客を明確にします。ターゲットとなる顧客像のニーズや課題を整理し把握することで、カスタマーサクセスで顧客へ提供すべき施策やサービス、対応が理解できるでしょう。

 

フェーズごとのサクセスを定義

各フェーズごとに、どのような状態になったら「顧客が成功体験を得ている状態(サクセス)」と考えられるか、について具体的に定義します。それぞれのフェーズごとに「その段階でのサクセス」を細かく定義することで、カスタマーサクセス活動全体において一貫して目指すべきことも把握できるでしょう。

 

カスタマージャーニーの策定

顧客像の整理と目指すべきサクセスの定義を明確にしたあと、顧客の行動の道筋を可視化した「カスタマージャーニー」を策定します。顧客が製品の利用や購入に至るまでに起こす行動プロセスを整理し、それぞれの段階で顧客が取るであろうアクションの仮説を立てて、カスタマーサクセスで取るべき活動を整理します。既存の顧客関連データも参照しながらカスタマージャーニーを策定しましょう。

 

サクセス達成のための施策の洗い出し

カスタマージャーニーの各プロセスにて、顧客が持つ課題や悩みを洗い出し、カスタマーサクセス達成のためのアクションを明確にします。顧客の課題や悩みを改善するための必要な動き、つまりカスタマーサクセスで行うべきアプローチを把握するための重要なプロセスです。サクセス達成のためのアクションを洗い出し、カスタマーサクセスにおける各フェーズでの具体的な施策や活動に落とし込みます。

 

施策の実行

各フェーズごとの施策を策定した後は、実際に施策の実行に移ります。カスタマーサクセスの施策を実行するには、他の営業部門や製品開発部といった関係部門の担当者との連携も必要です。カスタマーサクセスを実現するためのタスクや役割を策定し、担当者を振り分け、実行体制を構築しましょう。

 

策定した施策を実行しても、カスタマーサクセスにおいてはすぐに具体的な成果がみえるわけではありません。施策を実行することによってまず、顧客像の整理やカスタマージャーニーは適切であったか、顧客の課題は明確か、などが把握できることとなります。施策の課題や問題点があれば浮かび上がってくるでしょう。カスタマーサクセス業務を進めつつ、常に課題や改善点をチェックし、より良い体験やサービスを顧客へ提供できるよう改善を行います。

 

効果の検証とフィードバック

実行した施策の効果をスコアリングしたうえで指標と比較しながら評価し、定義したサクセスまでの達成度を検証します。検証はサクセスや各フェーズでの目標の達成度の可視化と、今後の施策の改善のために必要です。検証は以下のことを行いましょう。

  • 顧客やカスタマーサクセス業務の担当者から、フィードバックを収集する
  • 高い効果を発揮できた施策と効果が低かった施策を分類する
  • 高い効果が出た施策の効果を分析し、さらなるカスタマーサクセス活動へ反映する
  • 施策の検証と評価が終わったら、カスタマーサクセスプロセス全体の評価と検証を行う

カスタマーサクセスの施策実行、効果の検証は何度も繰り返し行って、長期的に改善を続けていくことが重要です。

 

カスタマーサクセスを組織化する手順

社内ミーティングの様子

カスタマーサクセスは営業職などが兼務することもありますが、カスタマーサクセスの効果を最大化させるには、専門組織を立ち上げてカスタマーサクセス業務に注力させることが重要です。カスタマーサクセス組織を立ち上げるための手順を詳しく解説します。

 

カスタマーサクセス組織の目的を設定

まずはカスタマーサクセス組織の明確な目的を設定します。具体的な目的は以下の通りです。

  • 顧客満足度の向上
  • オンボーディング完了率の向上
  • アップセルやクロスセルの促進
  • LTVの向上
  • 解約率の低下

目的が明確でないと、チーム内の足並みが揃わず、サクセスなどの成果を得られません。関連部門とうまく連携を取るためにも目的設定は必須です。たとえば関連部門とカスタマーサクセス組織で業務が重複すると無駄が生じてしまいます。現状の課題や組織体系を踏まえて目的を設定し、部門間で異なる業務を効率よく遂行することが重要です。

 

目標と業務プロセスの設定

カスタマーサクセス組織の目的を設定したら、最終目的達成のための目標設定を行います。まずKGI(最終目標)を設定し、KGI達成のための進捗確認や成果の可視化、改善のためにKPIを設定しましょう。カスタマーサクセスでおもに設定される以下の指標の中から適切なものを選んで、KPIを設定しましょう。

  • 解約率(チャーンレート)
  • 顧客維持率(リテンションレート)
  • オンボーディング完了率
  • アップセル・クロスセル率
  • LTV(顧客生涯価値)
  • NRR(売上継続率)
  • NPS(顧客推奨度)
  • CSAT(顧客満足度)
  • CSQL(Customer Success Qualify Lead、カスタマーサクセス活動によって生み出されて精査されたリード)
  • アクティブユーザー数
  • セッション時間(サービスの利用時間)
  • 口コミやレビューサイトでの投稿獲得数

KPIを設定したあとは、KPIを達成するための具体的な業務プロセスを設定します。

 

組織に必要な機能を設定する

KGIとKPIを設定した後は、カスタマーサクセス組織に必要な役割や業務といった機能を設定します。必要な役割や業務を明確にすることで、組織の人選や施策の考案が可能になるでしょう。必要となる人材や役割とともに、必要なツールやシステムなども選定しておくことが重要です。

 

カスタマーサクセス人材を確保する

カスタマーサクセス組織の立ち上げに必要となる人材を確保します。人材確保のために、以下のような仕組みを構築しましょう。

  • 採用プロセス
  • トレーニングプログラム
  • カスタマーサクセスの知見のある人材の発掘

社内にすでにカスタマーサクセスの知見や実務経験がある人材がいれば、組織メンバーに任命しやすいでしょう。知見がない、または業務未経験でも行動力やコミュニケーション力などのカスタマーサクセスに必須のスキルを持っている人材は、組織で活躍してくれる可能性が高いため確保すると良いでしょう。社内に適任者がいない場合には、新しくカスタマーサクセス人材を採用するか、外部への業務委託が選択肢となります。

 

カスタマーサクセスのプロセスを効率化させるポイント

会議のデスクと資料

組織を立ち上げ、カスタマーサクセスのプロセスを効率化させるためのポイントを順に解説します。

 

KPIの達成状況をタイムリーに可視化・評価できる基盤を構築

カスタマーサクセスのプロセスで成果を出すためには、設定したKPIの達成状況をタイムリーに可視化し、評価できる基盤が必要です。状況に合わせた適切なKPIが設定されていても、KPIの達成状況が可視化されていないと、成果が体感しにくくなります。さらに可視化したKPIについて、進捗や成果をタイムリーに評価できる体制も整えておきましょう。日々変化する顧客のニーズや課題に対応するために、常にカスタマーサクセスの施策や活動を評価し、改善、改良することが求められているためです。

 

カスタマーサクセスのプロセスにおいては、個々の顧客の行動データなどに基づく詳細な分析が必要です。KPIの達成状況を可視化するために、細かい情報を一元管理できるカスタマーサクセスツールをはじめとしたITシステムを導入することも検討しましょう。評価にあたっては、定期的な評価やミーティングの機会を設けて、顧客のフィードバックや運営データをもとに現状の課題を発掘し、顧客の意見や声を反映して改善策を立案、実施するようにします。

 

他部署への説明と連携協力

カスタマーサクセスを含めたTHE MODEL型を導入するには、営業・マーケティング・プロダクト開発といった他部署との連携が必要不可欠です。THE MODELでは各営業プロセスが前述のように細分化されているため、他部署との綿密な連携をとれなければ、カスタマーサクセスのプロセスの実現は難しいでしょう。あらかじめ他部署に対してカスタマーサクセスの業務内容や目的、プロセスで担当する範囲、KPIなどを伝えて共有しておくことが重要です。

 

他部署で得られたデータも顧客管理システムなどの共有システムへ入力してもらうなど、一元管理や業務効率化のためのツール運用への協力を促すために、適宜説明をしながら部署同士の連携力を高めておくことも求められます。

 

社内全体でTHE MODEL型を理解し、業務運用面で一貫した導入を行っておくことによって、顧客へも一気通貫型のサポートを提供できるようになります。

 

スモールスタートで実行し対象範囲を広げていく

カスタマーサクセス部門を新設するときは、まず小さな規模から始めるのがおすすめです。小規模スタートを行うと、失敗をしても大きなダメージにならないため失敗前提で活動しやすいといえます。失敗から課題を把握できるため、改善策をこまめに取り入れやすいのもメリットです。

 

初期段階では、効果のある施策やプロセスを特定し、都度修正を加えながら組織の立ち上げを目指すようにしましょう。KPIはシンプルなものに設定する、ひとつのプロセスにこだわらずスピード感を持って取り組むといった考え方が重要です。施策の策定・フィードバックの分析・業務プロセスの改善を繰り返しながら、組織を段階的に拡大することで、より成果を出せるカスタマーサクセス組織への成長が期待できます。

 

まずは限られたリソースを活用したスモールスタートで業務を進めていき、徐々に対応範囲を広げていくのがおすすめです。組織をスタートさせ、活動をしながら全体のプロセスを改善していく意識を持つと良いでしょう。

 

担当者とマネージャーで改善を繰り返す

KPIの可視化、データの初期設定、実務の運用に応じて、KPIを調整していきながらカスタマーサクセス業務を進めます。業務の活動の内容および成果は現場担当者がマネージャーに報告し、フィードバックをもらうようにしましょう。マネージャーは現場担当者の運用について細かな面まで評価を行い、客観的な観点で改善すべき部分をアドバイスします。アドバイスやフィードバックの中で新たに発生するタスクも整理しながら、部門全体でのカスタマーサクセスの実現を目指します。

 

ナレッジの蓄積と共有を行う

カスタマーサクセス組織の運用においては、ナレッジの蓄積と共有が重要です。個々のメンバーの知見や実務経験を組織全体で共有することで、スキルの均一化や各プロセスの効率的な実施、業務の属人化の排除による一貫性のあるサポートの提供などの実現につながるでしょう。逆にナレッジの蓄積や共有を行わないと、一定の人材にスキルや知識が偏ってしまい、属人化の原因となります。属人化すると業務効率が下がる、カスタマーサクセス組織のスケールが小さくなる、といったデメリットが発生するため、注意が必要です。

 

ナレッジの蓄積と共有では、以下のような取り組みが行われます。

  • ナレッジ管理システムの導入
  • ドキュメント整備
  • 定期的な情報共有ミーティングの実施
  • 顧客のフィードバックや成功事例の分析

組織内のコミュニケーションを活性化させることで、業務の標準化が実現します。顧客のフィードバックや成功事例を分析し、課題解決や成果向上を目的とした業務プロセスの見直しを行うことも重要です。

 

データを最大限に活用する

顧客へ成功体験を与えるためには、顧客の抱えている課題や潜在ニーズの発掘が必須です。そのためにデータの収集や分析を行います。データを分析することで顧客への客観的な理解につながり、有効なフォロー戦略や施策が立案できるでしょう。

 

データの収集や分析には、以下のようなITツールの導入が有効です。

  • 顧客管理システム「CRM」
  • マーケティング活動効率化、自動化システム「MA」
  • 営業支援システム「SFA」 など

こういったツールを導入すると、部門をまたいだ情報の一元管理もしやすくなるため、業務連携もとりやすくなります。

 

有人対応にこだわらない

カスタマーサクセスでは、顧客のステージや状況に合わせた対応が必須です。特にSaaSやサブスクリプション型ビジネスといったユーザー数の多い商材の場合には、すべてを有人対応にすることは難しいでしょう。顧客のLTVを軸に分類を行ったうえで、それぞれの顧客層に合わせて有人対応だけでなく、ツールやシステムを活用した自動・半自動的な対応を行うことで、カスタマーサクセス業務を効率化できます。

 

たとえばLTVの高い大口顧客である「ハイタッチ」に対しては個々へカスタマイズされた伴走型の支援を行うために、個別のミーティングやマンツーマンでのフォローといった有人対応が必須です。一方でLTVが低く顧客の数が多い層については、デジタルやITツールを活用した対応を行う「テックタッチ」を対応の主軸とするほうが適しているため、説明動画の提供やチャットボットなどでの対応からスタートするほうが良いでしょう。限られたリソースで実施するカスタマーサクセスにおいて、コストパフォーマンスの面で効率化ができるでしょう。

 

カスタマーサクセスのためのツールの選定方法

パソコンとマウス

カスタマーサクセスのプロセス効率化や組織としての成果の最大化には、カスタマーサクセス業務に活用できるツールの導入が有効です。ツールの目的や、選ぶポイントを解説します。

 

ツールの目的

ツールによってできること、できないことがあります。業務効率化やデータの可視化といった自社の導入目的に合わせたツールを選定するようにしましょう。

 

使用方法

実際に使用する人の視点に立って、以下のポイントからツールの使用方法を確認します。

  • IT知識がなくても使いやすいか
  • インターフェースは直感的で使いやすいか
  • 情報共有はしやすいか

実際にツールを使用する人を踏まえて使用方法や操作方法を考慮していないと、現場にツールが定着せず、逆に業務が非効率となるリスクがあります。導入費用のみが発生してしまい定着までいかないと、コスト面で大きなデメリットが発生するため、使用方法は必ず確認しましょう。

 

取り扱うデータの種類

どんな種類のデータの集計、分析、可視化ができるかをチェックします。主な取り扱いデータの種類は以下の通りです。

  • 顧客の基礎データ
  • 顧客の利用状況
  • アンケート集計や結果
  • サポートに関するデータ
  • センチメントデータ など

効率化したい業務や、設定したKPIに合わせて必要なデータが取り扱えるものを選びましょう。

 

疑問や不安へのサポートや対応

ツール導入後、カスタマーサクセス部門内での定着まで時間がかかることがあります。また、機能面でわからないことがあったり、トラブルが発生したりすることもあるでしょう。こういった場合の、ツール提供者側のサポート体制も調べておくと安心です。主なツールのサポートには以下のものがあります。

  • オンボーディング対応
  • マニュアル
  • FAQ
  • 技術面での相談解決窓口

サポートがしっかりしているツールであれば、導入後スムーズにツールを使い続けられるでしょう。

 

企業のカスタマーサクセス導入成功事例

オフィスの風景

カスタマーサクセスは多くの業種や業界から注目される新しい職種です。すでにカスタマーサクセスで成功を収めている企業の事例を紹介します。

 

Adobe

Adobe社ではデジタルツールやクリエイティブツールといったツール製品の提供だけでなく、ツールを利用する顧客に寄り添いながら、提案からソリューション活用までをワンストップで提供しています。

 

同社は、顧客のビジネス面を深く理解したうえでの製品活用支援と、満足度の追求を担う「カスタマーサクセス部門」、そして主に技術面での製品活用を中心に顧客の成功を支援する「カスタマーサポート部門」の2本柱で顧客へのサポートを展開しています。複数製品を購入している顧客に対しては製品間の連携の提案やサポート、導入製品の少ない顧客に対しては製品を使いこなすことに注力したアプローチなど、顧客の状態やステージに合わせたサポートやフォローを実施し高い成果を得ています。

 

Dropbox

オンラインストレージサービスを提供するDropbox社では、企業向けにDropboxを通じたカスタマーサクセス業務を提供しています。特に企業DXを目的にDropboxを導入した顧客に対しては、表面上の機能だけでなく、社内DXのなかでどういった役割を担えるかといった、プロダクト面での正しい価値を伝えるためのフォローを行っています。

 

カスタマーサクセス活動のなかで顧客の声を積極的に収集し、定期的にプロダクトの改善へつなげている点も特徴です。カスタマーサクセスチームと製品開発チーム、マーケティングチームが共同となって、顧客側の経営層をまじえておこなわれる「カスタマーアドバイザリーボード(CAB)」というユーザーイベント業務も展開されています。

 

freee

クラウド型の会計ソフトや人事労務ソフトを展開するfreee社では、カスタマーサクセス部門とカスタマーサポート部門とに分かれて、製品導入時の支援からさらなる活用に向けた提案、利用時の各種サポートといった顧客の利用体験へ一貫して関わっています。

 

個人事業主から数百名規模の法人まで、製品ユーザー層の幅が大変広いため、顧客の利用状態や課題に応じて複数の支援を提供しています。ウェビナーやユーザーコミュニティの企画・運営など、様々な観点で顧客体験づくりを推進している点が特徴的です。より多くのユーザーへ自社製品の価値を届けるために、常に新しい仕組みづくりも企画されています。

 

花王

日用品や化粧品の大手メーカーである花王では、2021年より推進しているDXにおいてカスタマーサクセス部門を新しく設置しています。顧客の購入の場が対面からECチャネルへ移行したことを受けて、オンライン上でも対面と同じ水準での密なコミュニケーションを通じて購入体験をしてもらえるよう、顧客に寄り添ったカスタマーサクセス活動を提供しています。

 

たとえば顧客一人ひとりとコミュニケーションをとるための場として、自社のLINEアカウントへの招待を行っています。LINEのメッセージ上で顧客の悩みや課題をヒアリングし、具体的な提案を行える場を構築することで、BtoCにおけるカスタマーサクセスを成功させています。

 

SmartHR

クラウド型人事労務ソフトを展開するSmartHR社では、顧客へのオンボーディングや製品の活用、活用計画のサポートなどをカスタマーサクセス部門で提供しています。ユーザーサポートにあたってはカスタマーサクセスツールやコミュニケーションツールを導入することで、チーム内のタスク管理と顧客の課題や進捗管理の共有を行っています。

 

ツールを導入することでカスタマーサクセス業務の効率化につなげたほか、顧客のニーズ発掘や些細な変化を見逃さないサポート、顧客の業態や知識、ITリテラシーに適応した提案を実現しています。

 

カスタマーサクセスのプロセスを理解し、成功につなげよう

カスタマーサクセスのTHE MODELでの役割や業務プロセス、組織化のためのポイント、ツールの選定方法、企業の成功事例などをまとめて解説しました。カスタマーサクセスはSaaSやサブスクリプション型ビジネス向けの戦略というイメージが強い一方で、現代では業種や業界を問わず多くの企業がカスタマーサクセス部門の立ち上げや導入をはじめています。

 

カスタマーサクセスは企業へ持続的な利益をもたらし、LTVの向上が期待できる一方、まだまだ新しい職種であるためノウハウが蓄積できていない、部門として立ち上がっていない、といった課題を抱える企業も多い状況です。

 

もし、現在カスタマーサクセスとして務めている組織が属人化していて活躍しづらい、正当な評価が得られないといった不満がある場合には、気持ちあらたに他企業のカスタマーサクセスへ転職して年収アップやキャリアアップを目指す、というのもおすすめです。

 

カスタマーサクセスに特化した求人、転職支援サービスである9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスでは、非公開求人をふくめ豊富なカスタマーサクセス求人を取り扱っています。案件紹介からマッチングまで一気通貫でサポートしていますので、ミスマッチも防げます。ご興味があればぜひお気軽にご相談ください。カスタマーサクセス職で転職を迷われている方は以下ボタンより、ぜひ面談予約お願いいたします。

 

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