2024年12月5日公開
最終更新日:2026年7月27日
カスタマーサクセスが激務で転職はやめとけといわれる理由とは? 本当に辛い・きついのか向き不向きの特徴もあわせて解説!
カスタマーサクセスは激務だ、転職はやめとけといわれることがあります。自社の商品やサービスを採用してくれた顧客の成功を支援するカスタマーサクセスの仕事は幅広く、マルチタスクが前提です。
今回の記事では、カスタマーサクセスが激務だといわれる理由で多いものと辛い・きついと感じる原因に加え、カスタマーサクセスに向いている人・向いていない人の特徴紹介なども含めて解説します。
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そもそもカスタマーサクセスへの転職は「やめとけ」なのか
「カスタマーサクセスはやめとけ」という声をネット上で見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事でも激務だといわれる理由や辛さの原因を詳しく解説しますが、そもそも「やめとけ」が正しいのかどうかを判断するためには、カスタマーサクセスという職種の本質を理解することが欠かせません。結論からいえば、カスタマーサクセスは向いている人には市場価値が高まり続ける職種であり、「やめとけ」という声の多くは、職種の構造的な難しさや向き不向きを正確に理解せずに生まれているケースがほとんどです。
カスタマーサクセスとは、その名のとおり「顧客(カスタマー)の成功(サクセス)」を支援する職種です。自社の商品やサービスを導入した顧客が、その製品・サービスを通じて期待する成果を得られるよう、導入後の段階から継続的に伴走します。新規契約の獲得を目的とする営業とは根本的に役割が異なり、契約後の顧客がいかに成果を出し、長期にわたって利用し続けてくれるかに責任を持つのがカスタマーサクセスの本質です。
「顧客の成功」を定義することの難しさ
カスタマーサクセスが激務だといわれる背景には、「顧客の成功」という概念そのものの難しさがあります。一口に「顧客の成功」といっても、その定義は企業の業種・規模・成長フェーズによって大きく異なります。たとえば、コスト削減を最優先する企業にとっての成功と、新規顧客の獲得数増加を目指す企業にとっての成功は、まったく別物です。
カスタマーサクセスの現場では、顧客ごとに異なる「成功の定義」を正確に把握した上で、それぞれに最適なアプローチを設計・実行する必要があります。顧客の成功の分類としては、一般的に「業務時間の短縮」「コスト削減」「社内の活性化・定着率向上」「営業成績の改善」「経営指標の向上」「企業全体の成長」「ミッション・ビジョンの実現」といった複数の軸が存在し、顧客がどこにゴールを置いているかによってCSの動き方も根本から変わります。
顧客の成功をサポートすることがなぜ難しいのか
さらに難しいのは、顧客の成功には時間がかかるという点です。サービスを導入したからといって、翌日から成果が出るわけではありません。顧客の社内に定着し、日常的に活用されるようになり、それが業務改善や成果向上として数字に表れるまでには、数ヶ月から場合によっては1年以上を要することも珍しくありません。そしてカスタマーサクセスには、その成功を一時的なものではなく持続させることまでが求められます。
一度うまく活用できていても、担当者が交代したり組織が変わったりすることで、また振り出しに戻るケースもあります。「顧客の成功を定義し、時間をかけて実現し、さらに持続させる」という三重の難しさが、カスタマーサクセスが激務だといわれる根本的な原因のひとつです。このような背景を理解した上で、次章以降の「激務の理由」や「辛さの原因」を読んでいただくと、より解像度が高まるはずです。
カスタマーサクセスが激務だといわれる理由
カスタマーサクセスが激務だ、やめとけといわれるのには理由があります。その理由は複数あり、絡み合うことでより激務に感じてしまうようです。以下で主な理由について解説します。
業務内容が多岐にわたる
カスタマーサクセスの仕事は単純作業ではなく、顧客の状況に応じて多岐にわたります。
オンボーディング
SaaSなどの自社商品やサービスを採用してくれた顧客に対し、円滑な導入ができるよう、継続利用できるように支援すること
アップセル
新たな課題の発見などにより、利用中の商品やサービスよりも上位の商材を導入してもらうこと
クロスセル
利用中の商品やサービスと関連のある商材を追加で導入してもらうこと
オンボーディングにとどまることなくアップセルやクロスセルで結果を出すためには、データ分析も含めてそれぞれの顧客に応じたアプローチが必要です。アプローチが適切でなければ、解約につながりかねないため責任重大といえます。指示待ちではなく主体的に様々な業務を遂行する必要があることから、激務だと感じられやすいといえるでしょう。
カスタマーサクセスが多岐にわたる理由—「The Model(ザ・モデル)」という営業の分業体制
カスタマーサクセスの業務がなぜこれほど幅広くなるのか、その背景として理解しておきたいのが「The Model(ザ・モデル)」と呼ばれる営業プロセスの考え方です。The Modelとは、Salesforceが提唱したことで広く知られるようになった営業の分業モデルで、商談の流れを「マーケティング」「インサイドセールス(IS)」「フィールドセールス(FS)」「カスタマーサクセス(CS)」の4つのフェーズに分け、それぞれの役割を専門化・可視化することで営業効率の最大化を図る仕組みです。
各フェーズの役割を簡単に整理すると、マーケティングが見込み顧客(リード)を獲得し、インサイドセールスが電話やオンラインで初期ヒアリングや商談設定を行い、フィールドセールスが商談・提案・クロージングを担当します。そして契約後の顧客を引き継ぎ、長期的な関係構築と成果最大化に責任を持つのがカスタマーサクセスです。
この分業体制において、カスタマーサクセスは顧客との接点が最も長く・深くなるフェーズを担当します。そのため、前工程の営業が設定した期待値と実際のサービス仕様のギャップを調整しながら、顧客の成功に向けて幅広い業務を遂行しなければなりません。これがカスタマーサクセスの業務が多岐にわたる構造的な理由です。
オンボーディング・アップセル・クロスセル以外のカスタマーサクセスの業務
オンボーディング・アップセル・クロスセルは代表的な業務ですが、カスタマーサクセスにはそれ以外にも重要な業務区分が存在します。転職を検討する上でも、こうした業務の全体像を把握しておくことが、入職後のギャップ防止につながります。
「アダプション(活用促進)」は、顧客がサービスを「使い始めた」状態から「使いこなしている」状態へと引き上げるための継続的な支援です。ログイン頻度や機能の利用状況などのデータを分析しながら、活用度の低い顧客に対してプロアクティブにアプローチし、製品から価値を引き出せるよう伴走します。導入初期の定着を支えるオンボーディングと違い、アダプションは契約期間を通じて継続的に行われる点が特徴です。
「リテンション(継続・解約防止)」は、顧客の解約を未然に防ぎ、契約を更新してもらうための取り組みです。顧客のヘルスチェック(利用状況・満足度・ライセンス消化率などの健全性指標の確認)を定期的に実施し、解約リスクの高い顧客(チャーンリスク顧客)を早期に検知して対処することが求められます。解約率(チャーンレート)の低下は、カスタマーサクセスが直接KPIとして追う代表的な数値です。
「プロダクトフィードバック(改善提案)」は、顧客の声や現場での気づきを社内の開発・プロダクトチームに届ける役割です。「この機能が使いにくい」「こういう機能があれば活用が広がる」といった声を体系的に収集・整理し、プロダクト改善の優先順位付けに貢献します。カスタマーサクセスは顧客と最も近い距離にいるため、プロダクトの改善サイクルに直接貢献できる立場にあり、これが「やりがいがある」と感じる理由のひとつにもなっています。
このように、カスタマーサクセスの業務はオンボーディング・アップセル・クロスセルにとどまらず、アダプション・リテンション・プロダクトフィードバックなど多岐にわたります。The Modelの最終フェーズを担うCSは、サービス全体の価値を顧客に届けきる「最後の砦」ともいえる役割を担っており、だからこそ業務の幅広さが激務につながりやすいのです。
顧客に満足してもらい目標数値をクリアする仕事が求められる
カスタマーサクセスは単に顧客に向き合う職種ではなく、顧客を育てて数値で管理される目標をクリアしなければならない職種です。顧客を育てるためには、信頼関係の構築が欠かせません。カスタマーサクセスには地道な活動を通じて顧客のエンゲージメントを向上させ、次のステップへとつなぐ能力と活動が求められます。
多くの顧客に対応しつつ、顧客数に応じた数値目標に追われる状況は、激務の印象が強くなるでしょう。また、一般の営業職とは異なり、自ら顧客を開拓できないため、限られた顧客を大切に育て、数字を作らなければなりません。この顧客が駄目なら次の顧客を探すといった行動が可能な営業職に比べ、数字作りの自由度が低い点も激務といわれる理由のひとつです。
経験者だからわかる厳しい面をアドバイスする声
カスタマーサクセスに限った話ではないですが、仕事には実際に経験したからこそわかる大変さ、厳しさがあります。これからカスタマーサクセスをやろうと考えている人に向けて先輩がアドバイスする声の中には、辛かった経験も少なくないようです。親切心から発せられる声ではあるものの、経験者の数だけ指摘事項が多くなるため、より激務に感じられる可能性が考えられます。
カスタマーサクセスを知らない人からの無責任な声
カスタマーサクセスが激務だといわれるとき、必ずしもしっかりした根拠や理由があるとはいえないケースがあります。カスタマーサクセスを理解しているわけではなく、カタカナや横文字で表す名前の職種は激務に違いないといった思い込みや偏見にもとづくお節介であるケースも少なくないようです。
また、カスタマーサクセスの略称はCSですが、同じCSを略称とするカスタマーサポート、カスタマーサービスと混同し、毎日クレーム対応に忙殺されている職種、理不尽なクレームで疲弊している職種だと勘違いして忠告する声もあります。カスタマーサクセスもクレーム対応をすることがないとはいえませんが、クレームを生まない活動が重要な職種です。
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カスタマーサクセスが辛い・きついと感じる原因

カスタマーサクセスが激務だといわれる理由とともに理解しておきたいのが、カスタマーサクセスが辛い・きついと感じる原因です。ここでは、辛さやきつさの主な原因について解説します。
カスタマーサクセスの業務に対する理解不足
未経験者が新卒や転職でカスタマーサクセスの仕事を始めた場合、こんなはずではなかったと感じることがあります。入職前にカスタマーサクセスの業務内容などに関する十分なリサーチができていなかったケースで起こりがちです。イメージだけであこがれを抱くと、こんなに辛い・きついとは思わなかったといったミスマッチが起こり得ます。
就職・転職にあたっては、応募先だけでなく職種の仕事内容についてもしっかりとリサーチを行うことが重要であり、これはカスタマーサクセス以外の仕事、職種にもいえることです。
顧客との相性がよくない
カスタマーサクセスが相手にする顧客が人間である以上、多かれ少なかれ相性の問題が生じることは否定できません。相性のよくない顧客を担当した場合、意図が十分に伝わらないなどコミュニケーションで苦労し、辛い・きついと感じることがあります。相性以外にも、顧客がクレーマー的な言動をするケースや、そもそも顧客側の体制が整っていないため、商品やサービスを導入はしたものの先に進まないケースなども辛い・きついと感じる一因です。
顧客からの要望が多すぎる
顧客にとって導入のハードルが低い商品やサービスは、用意されている機能が絞られているなど、性能面で不足を感じるケースがあります。導入前に気づいていればよいものの、導入後に「これができないと困る」といったクレームから「なんとかしてくれ」といった要求に発展しかねません。このような要求は一つとは限らないため大変です。「あれもこれも」とできないことをやれといわれ続けることで、辛い・きついと感じてしまいます。
また、顧客との関係性が密接になることで頼みやすい雰囲気が出来上がり、様々な要望を寄せられることがあり、対応に追われてしまうことも辛い・きついと感じる原因の一つです。
目標達成の心理的ストレス
激務だといわれる理由でも述べたように、カスタマーサクセスには数値目標があります。仕事である以上は結果を求められ、その結果を評価する指標が目標です。目標となる数値は努力しなくても達成できるレベルではなく、高ければ高いほど達成率に追われる感覚が強くなり、心理的ストレスになり得ます。カスタマーサクセスで設定される主な数値目標は、解約率やアップセル、クロスセルなどです。
企業が若いため業務遂行が手探り
カスタマーサクセスを初めて置いた若い企業や、カスタマーサクセスの経験が短い企業の場合、効果的な業務遂行のノウハウや実績が不足しているケースが少なくありません。また、責任者自身がカスタマーサクセスの経験が浅いため、アップセルの手法や解約防止策などを指導できず、それぞれが手探りで業務を進めるケースがあります。自分で考えるにしても限界があり、仕事が進まない一方で、顧客対応にはスピードが求められ、数値目標にも追われるため疲労感が強くなる点も辛い・きついと感じる一因です。
営業が提示した期待値と現場の制約の板挟みになりやすい
カスタマーサクセスが辛い・きついと感じる原因として、見落とされがちながら現場では非常に多く聞かれるのが「板挟み問題」です。The Modelの分業体制において、営業(フィールドセールス)は契約獲得を最優先に動きます。そのため、成約を優先するあまり、実際のサービス仕様や対応範囲を超えた期待値を顧客に提示してしまうケースが生まれやすい構造があります。
「〇〇の機能は近々リリース予定です」「そのカスタマイズにも対応できます」といった言葉で契約を獲得した後、その顧客対応を引き継ぐのはカスタマーサクセスです。しかし実際には、機能の提供時期は未定だったり、カスタマイズに対応するリソースが存在しなかったりするケースは珍しくありません。顧客側は「聞いていた話と違う」と不満を抱き、その矛先はカスタマーサクセスに向かいます。
営業担当者に「約束した内容を守ってほしい」と訴えても、すでに契約を取り終えた案件へのフォローは優先度が下がりがちです。開発部門に機能対応を依頼しても「優先度が低い」と後回しにされる。カスタマーサクセスは顧客と社内の双方から板挟みになりながら、それでも顧客満足を維持する責任を背負わされます。これは個人の能力や努力ではなく、営業モデルと組織設計の問題であるにもかかわらず、解約が起きた際にはカスタマーサクセスの責任として評価に響くこともあります。この構造的な理不尽さが、長期間にわたると精神的な疲弊につながっていくのです。
カスタマーサクセスでありがちな転職失敗のケース

カスタマーサクセスが激務で辛い・きついと感じてしまう、転職失敗につながるありがちなケースを解説します。
今風でかっこよさそうな職種だから選んだ
カタカナや横文字の職種は先進的な感じがしてかっこよさそうといった安易なイメージで転職したものの、実務の厳しさに意欲をなくしてしまうケースがあります。カスタマーサクセスについてのリサーチ不足の代表例といえるでしょう。
ただし、一概にリサーチ不足を責めることもできません。企業によってはカスタマーサクセスを名乗っているものの、実態が伴っていないケースもあるためです。このようなケースでは、激務だからというよりも、カスタマーサクセス本来の仕事と異なり、やる気が起きないといったケースが考えられます。
スキルがマッチしていない
意欲は十分にあるものの、カスタマーサクセスに求められるスキルと自分のスキルがマッチしていないケースも転職失敗といえます。ただし、企業によっては実務を行うなかでカスタマーサクセスに必要なスキルを積み上げることが可能です。転職失敗となるか否かは、入社を希望する先が即戦力を求めているのか、未経験者でも構わないのかによって大きく変わります。
業務執行体制が合わない
個々のカスタマーサクセスの仕事内容、提供するサービスは職場によって異なります。そのやり方が自分に合わない、自分に割り当てられた業務が合わないといったケースも転職失敗にありがちです。たとえば、チームでカスタマーサクセスを進める場合、役割分担により一部の業務を繰り返し行うことがあります。自分で最初から最後まで手掛けたい人には合わないでしょう。
とはいえ、ずっと同じ業務を担当するとは限りません。各業務をローテーションしてキャリアを積むケースもあります。転職失敗を防ぐためにも、自分が入社したい先がどういった業務執行体制になっているか、それが自分に合っているかは、しっかりと確認しておきたいところです。
「やめとけ」は本当? カスタマーサクセス(CS)で得られる「やりがい」と「メリット」

カスタマーサクセスは「激務だ」「辛い」といわれる一方で、SaaSビジネスの浸透とともに市場価値が非常に高まっている職種でもあります。ここでは、厳しい側面を乗り越えて得られる、カスタマーサクセスならではの「やりがい」と「メリット」を解説します。
顧客の成功を最も近くで支援できる「伴走者」としてのやりがい
カスタマーサクセスは、文字通り「顧客の成功」をミッションとしています。単なる「御用聞き」や「クレーム対応」ではなく、顧客のビジネス課題に深く入り込み、自社プロダクトを通じてその課題を解決し、成功へと導く「伴走者」です。顧客から「あなたのおかげで目標を達成できた」「業務が改善した」といった感謝の言葉を直接もらえることは、何物にも代えがたいやりがいとなります。
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顧客のLTV(顧客生涯価値)向上が成果として実感できる
サブスクリプションモデルにおいて、カスタマーサクセスの活動は「解約率の低下」や「アップセル・クロスセル」に直結します。顧客の成功を支援した結果が、LTV(顧客生涯価値)の向上という明確な数値(成果)として現れるため、自社の売上や成長に直接貢献している実感を得やすい職種です。
幅広いスキルが身につくことによる「市場価値」の高まり
「業務が多岐にわたる」ことは激務の原因にもなりますが、裏を返せば、それだけ幅広いスキルが身につくということです。
・顧客の課題を見抜く「分析力」
・解決策を提示する「コンサルティング能力」
・社内外を調整する「コミュニケーション能力・交渉力」
・アップセルを提案する「営業力」
これらのスキルは汎用性が高く、カスタマーサクセスとしての市場価値を飛躍的に高めます。
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将来のキャリアパスが豊富
カスタマーサクセスで培った経験は、多様なキャリアにつながります。
・カスタマーサクセス部門の管理職(CSMマネージャー)
・顧客の声を製品に反映させる「プロダクトマネージャー(PdM)」
・既存顧客の売上を最大化する「アカウントマネージャー」
・CSの仕組みを構築する「CS Ops(シーエスオプス)」
このように、SaaSビジネスの中核を担う様々なポジションへのステップアップが可能です。
カスタマーサクセスの将来性—転職市場の具体的なデータ
「やめとけ」という声がある一方で、カスタマーサクセスの転職市場は客観的なデータとして拡大が続いています。BOXIL SaaS「SaaS業界レポート2025」によると、国内SaaS市場のCAGR(年平均成長率)は11.6%増と安定した成長が続いており、2029年度には市場規模が3.4兆円に達すると予測されています。SaaSビジネスの根幹にあるサブスクリプション型の課金モデルでは、顧客が継続して利用してくれることが収益の土台になるため、カスタマーサクセスは市場拡大と比例して需要が増し続ける職種です。
実際、カスタマーサクセス職の求人数は近年右肩上がりで増加しており、経験者の需要はもちろん、営業職やカスタマーサポートなど他職種からの異業種・異職種転職も広く受け入れられています。「経験者の絶対数がまだ少ない」という市場の特性上、今この段階でスキルを積み上げることが、将来的な市場価値の向上に直結します。「激務だからやめとけ」という声も否定はしませんが、長期的なキャリア形成という観点からは、カスタマーサクセスへの転職は現時点でも十分に有望な選択肢です。
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カスタマーサクセスに向いている人とは?

カスタマーサクセスに関心がある人にとって、自分がカスタマーサクセスに向いているかどうかは気になるポイントでしょう。ここではどのような人がカスタマーサクセスに向いているのか、その主な特徴を解説します。
コミュニケーション能力が高い人
まずはコミュニケーション能力が高い人です。カスタマーサクセスは顧客と向き合い、信頼関係を構築して顧客を育てます。そのためには、円滑で効率のよいコミュニケーションが必要です。顧客に対し正確に意思を伝達し、顧客の意図をくみ取る能力や、課題を発見し解決策をわかりやすく提案する能力が求められます。単に話が弾むといったことではなく、ビジネスとして必要なやりとりが問題なくできる高いコミュニケーション能力を持っている人なら、カスタマーサクセスで成功する期待が持てるでしょう。
新しい仕事に創造力をもって取り組める人
新しい仕事に創造力をもって取り組める人はカスタマーサクセスに向いています。カスタマーサクセスは比較的新しい職種、仕事であり、取り組み方に決まった形があるわけではありません。また、扱う商品やサービスによって、顧客によって取り組み方も変わるでしょう。したがって、業務の一つひとつが創造力を必要とする新しい仕事だといえます。
課題解決力がある人
顧客目線で課題解決力がある人は、顧客の悩みを取り除き、信頼関係を構築し、顧客の成功を支援し実現できる人です。カスタマーサクセスにおける課題解決は、アップセルやクロスセルの数値目標クリアにつながるものだといえます。
地道な作業をいとわない人
地道な作業をいとわない人はカスタマーサクセスに向いています。中長期的な展望で顧客と向き合い、信頼関係を構築し、顧客の成功をアシストしながら数値目標の達成につなげる地道な仕事だからです。
結果が出るまで忍耐強く続けられる人
地道な作業を繰り返すカスタマーサクセスは、短期的に大きな成果が期待できる性質の職種、仕事ではありません。結果が出るまで仮説・検証・分析を忍耐強く続けられる人が向いています。
マルチタスクに対応できる人
マルチタスクに対応できる人はカスタマーサクセスに向いています。カスタマーサクセスの仕事は多岐にわたっており、顧客ごとに異なる状況に合わせたマルチタスクが前提となっているためです。
目標達成の意欲がある人
目標達成意欲の強い人はカスタマーサクセスに向いています。カスタマーサクセスには数値目標があり、達成率で表せる結果が求められるためです。
カスタマーサクセスに向いていない人とは?

ここではカスタマーサクセスに向いていない人の特徴を解説します。
人との関わりが苦手な人・受け身の人
顧客と密接な連携をとり、導入支援や課題発見、提案を行う必要があるカスタマーサクセスには、人との関わりが苦手な人や受け身の人は向いていません。人と関わるのが苦手な時点で、意思の疎通が難しくなるでしょう。やりとりを通じて課題を見つけることや解決策の提案も困難で、信頼関係の構築も望み薄です。受け身の人はコミュニケーションに不安があるだけでなく、顧客のみならず社内においても積極的な連携が求められる能動的な業務遂行は難しいでしょう。
自分のやり方にこだわりがある人
カスタマーサクセスの業務遂行には様々なパターン、やり方があり、周囲からのアドバイスが役に立つシーンもあります。自分のやり方にこだわりがある人は、アドバイスに耳を貸さず、間違った方法を続けてしまうかもしれません。また、顧客や他部署との連携が必要なカスタマーサクセスにおいて、自分のやり方・ペースにこだわることは好ましい結果を望みにくいため、向いていないといえます。
決められた仕事をこなすのが好きな人
決められた仕事をこなすのが好きな人は、自分で考えて仕事をみつけるカスタマーサクセスに向いていないといえます。カスタマーサクセスの仕事は、個々の顧客に合わせて進める必要があるだけでなく、その内容も顧客の数だけあり、臨機応変な創造力と解決力が必要といえるためです。
飽きっぽい人・結果が見えないとすぐやめる人
中長期的な展望で顧客との信頼関係を構築し、課題解決による顧客の成功を実現することで数値目標をクリアするカスタマーサクセスの仕事は、成果が出るまで時間がかかります。飽きっぽい人には退屈に感じてしまうかもしれません。また、成果は信頼関係の構築が前提となるため時間がかかり、結果が見えないとすぐやめてしまう人にも向いていないといえます。
自分が楽しいかやりがいを感じるかを最優先に考える人
カスタマーサクセスは顧客の成功を支援するために、様々な手立てを講じます。その過程では多くの顧客を抱えてのマルチタスクで激務になったり、数値目標のプレッシャーや顧客の要求など辛い・きついことがないわけではありません。ときとして、やりがいを感じられないこともあるでしょう。自分が楽しいか、やりがいを感じるかを最優先に考える人は、カスタマーサクセスが嫌になってしまう可能性があるため向いていません。
顧客や社内の「理不尽」を感情的に受け止めてしまう人
カスタマーサクセスは、時として顧客からの厳しい要求やクレーム、あるいは社内の非協力的な態度に直面します。そうした「理不尽」に対し、感情的になって反論したり、すべてを真正面から受け止めて深く落ち込んだりする人は精神的に疲弊しがちです。冷静に状況を受け止め、論理的に対処するタフさが求められます。
ひとつの専門性を深く追求したい「職人肌」の人
カスタマーサクセスは、コンサルティング、営業、サポート、データ分析など、幅広い業務を「広く浅く」担当することが多い職種です。もしあなたが、例えばプログラミングやデザインといった特定の専門スキルだけを深く極めたい「職人肌」タイプの場合、CSのマルチタスクな業務内容を「中途半端だ」と感じてしまう可能性があります。
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カスタマーサクセスだからではなく所属会社が激務な例

カスタマーサクセスは激務といわれることがありますが、カスタマーサクセスだから激務なのではなく、その会社だから激務になっているケースがあります。
その会社の商品がユーザーニーズに合わない
その会社の商品やサービスが、顧客のニーズを満たすものでなければ激務になってしまう可能性があります。どんなに優れたカスタマーサクセス担当者であっても、顧客のニーズに適さない商材で顧客の成功を実現することはできません。それでも何か解決策はないものかと考えることで、たどり着くことのない目標に向かって激務が続くことになりかねないでしょう。また、商材のバージョンアップ等で顧客のニーズを満たせる場合でも、バージョンアップが遅々として進まないケースでは、心理的に激務となる可能性があります。
カスタマーサクセスがきちんと定義されていない
会社がカスタマーサクセスを勘違いしていたり理解していなかったりすると、業務自体がとりとめのないものになったり、あれもこれもやる羽目になったり、正当に評価されなかったりで、ただ激務なだけといったことが起こり得ます。
たとえば、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの区別が付いていない、カスタマーサクセスをクレーム処理係と勘違いしているといったケースです。前者では相談窓口として次々に入る問い合わせ対応に追われつつ、カスタマーサクセス本来の仕事もしなければならないといった事態になりかねません。後者は半ば強引に獲得した顧客の対応を任されて、顧客の成功とは程遠く、顧客の納得が得られなければ解約の責任だけを問われます。また、会社がカスタマーサクセスの重要性を理解していないと、営業部門や開発部門からの協力が得られず、板挟みになって疲弊するケースもあります。
社内の評価制度が確立していない(減点方式になりがち)
カスタマーサクセスの成果は「解約率の低下」など、中長期的に現れるものが多く、短期的な「新規契約数」で評価される営業職と比べて評価基準があいまいな場合があります。成果(解約阻止)は「当たり前」とされ、トラブルが起きた時だけ目立ってしまう「減点方式」の評価制度になっている企業では、どれだけ地道に努力しても報われず、激務に感じやすくなります。
カスタマーサクセスの評価の難しさの核心には、「成果の不可視性」という問題があります。解約率が下がった場合、それはカスタマーサクセスの個人の努力によるものなのか、プロダクト自体の品質向上によるものなのか、あるいは市場環境の変化によるものなのか、第三者からは判断が困難です。継続率の改善やアップセル件数の増加も同様に、CSの活動が直接の原因なのか、プロダクトや営業の要因が大きいのかが曖昧なまま評価されるケースがあります。
一方で、顧客が解約した場合には「なぜ防げなかったのか」というかたちでCSの責任が問われます。成功の功績はチームやプロダクトに帰属しやすく、失敗の責任はCSに集中しやすいという非対称な評価構造が、「成果が見えづらく評価されにくい」という不満の根底にあります。
この問題は、カスタマーサクセスの評価指標(KPI)の設計が不十分な企業で特に顕在化します。解約率や継続率だけをKPIとするのではなく、アダプション率・QBR(クォータリービジネスレビュー)の実施件数・ヘルスチェックスコアの改善度など、CSの活動量と質を可視化する指標を併用しているかどうかが、健全な職場環境かどうかを見分ける重要なポイントになります。転職先を検討する際には、評価制度の設計について面接で具体的に確認することを強くおすすめします。
他部署(特に営業・開発)との連携が機能していない
カスタマーサクセスは「顧客の声を社内に届ける」という重要な役割も担います。しかし、営業部門が売上優先で無茶な契約を結んできたり、開発部門にプロダクトの改善要望を伝えても「優先度が低い」と後回しにされたりすると、顧客と社内の板挟みになってしまいます。この連携不全が、カスタマーサクセスの業務を過度に辛くする大きな原因です。
利益優先で現場が疲弊している
会社が顧客よりも自社の利益を優先するあまり、売ることが最優先となり継続が考慮されなくなり、カスタマーサクセスとして納得できる仕事ができないケースがあります。こういったケースでは、重点商材を顧客のニーズとは関係なく売り込んでいることから、カスタマーサクセスと営業双方の現場の疲弊につながりかねません。
また、利益優先は売上面だけでなく人員配置にも表れます。営業規模に対してカスタマーサクセスの人員が少ないケースでは、人件費を抑えている可能性があり、1人が担当する顧客が多すぎて激務になる可能性が大です。
その先を見据えたカスタマーサクセスへの転職

ここではカスタマーサクセスとして成功したい人、さらにステップアップしたい人の転職におけるポイントを解説します。
自分の経験やスキルを棚卸
カスタマーサクセスへの転職を成功させるためには、転職したい先とのマッチ度を知る必要があります。おすすめの方法は自分の経験やスキルの棚卸です。自分の現状を客観的に確認することで、転職先の選択や効果的なアピールに役立つでしょう。もしも自分が希望する転職先が求めるスキルに届いていないなら、残された時間でいかにスキルを磨くかを考え、実践することができます。
転職先の徹底リサーチ
入社してからこんなはずではなかったと思わないためには、カスタマーサクセスを知ること以上に、転職先候補のリサーチが重要です。当該企業におけるカスタマーサクセスの位置付けや職務内容、働き方の実情などを可能な限りリサーチすることにより、転職成功の確率を上げることができます。契約数や具体的な導入先、解約率など商品やサービスの実績を知ることも重要です。また、職場環境や人間関係についてもチェックしておくことが望ましいといえます。公式サイトや口コミはもちろんのこと、会社説明会の機会や面接で訪問した際にも可能な範囲で情報収集しましょう。
キャリアプラン
顧客に寄り添って導入を支援し、課題を解決、成功を実現することで、目標クリアの達成感を得られるのがカスタマーサクセスという職種です。ただし、現実のカスタマーサクセスは企業によって異なります。転職先を選ぶ際には、キャリアプランを描くことが重要です。自分がなりたいカスタマーサクセス像を実現できるか、カスタマーサクセスから成長し、さらに上の役割を目指せるのか、といった可能性も含めて転職先を選ぶ必要があるでしょう。
▼カスタマーサクセスのキャリアパスについては、以下の記事でも詳しく解説しています
カスタマーサクセスのキャリアパスとは?身につくスキルや次のキャリアを解説
転職エージェント選びが成否を分けるカスタマーサクセスへの転職

カスタマーサクセスとして成功するか否かは、転職先選びにかかっています。よりよい転職先選びができるか否かは、転職エージェント選びにかかっているといっても過言ではありません。転職エージェントによって得意とする業種や職種に違いがあったり、保有する求人数に違いがあったりするためです。また、サポート内容にも転職エージェントごとの特色があります。カスタマーサクセスに強い転職エージェントの活用は転職失敗を防ぎ、希望する転職を成功させるための最低条件だといえるかもしれません。
カスタマーサクセスが激務になるかどうかは転職活動にかかっている
カスタマーサクセスが激務だといわれる主な原因は、業務内容の幅が広いこと、担当する顧客が多く忙しいこと、数値目標に追われることなどです。また、カスタマーサクセスについてのリサーチ不足や顧客との相性問題、顧客からの過度な要求などによって辛い・きついと感じることがあります。激務を回避し転職を成功に導けるか否かは転職活動次第です。
カスタマーサクセスの基本を理解し、激務の理由を知ったうえで、キャリアプランを考えましょう。カスタマーサクセスに強い転職エージェントを活用し、自分がなりたいカスタマーサクセスを実現してください。
9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスでは、カスタマーサクセス経験者などカスタマーサクセス業務への理解が深いキャリアアドバイザーが求職者様の経験にフィットする業務内容の求人を提案するなどカスタマーサクセス特化型だからこそ可能な転職支援を行います。
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この記事の監修者
藤井 大旗
ウェディング業界を経て、新規の人材紹介事業の立ち上げに参画。20代若手層を中心に、キャリアアドバイザー業務とオペレーション構築を担う。立ち上げから約2年で、チームとしてGoogle口コミ★5を100件以上獲得する実績を残す。
現在は株式会社9Eにて、カスタマーサクセス職やSaaS/IT業界セールス職、および自身の経験を基にしたキャリアアドバイザー職の転職支援を専門とする。(▶︎詳しく見る)
▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。
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