2024年11月10日公開
最終更新日:2024年11月17日
投稿者:9Eキャリアカスタマーサクセス編集部

カスタマーサクセスと営業の違いは? 役割や担当領域・適性の違いやキャリアチェンジのポイントを解説

従来の営業職との連携をとりつつ、別領域で顧客満足度向上や企業の利益最大化を図るために、カスタマーサクセス部門を新設する企業も増えました。カスタマーサクセスは職種としても需要が高まっており、営業職からのキャリアチェンジとしてカスタマーサクセスに興味を持たれている方もいるかもしれません。

 

本記事では、カスタマーサクセスと営業職の違いやそれぞれの業務内容について徹底解説します。カスタマーサクセスへの転職時のポイントについても紹介していますので、ぜひ各見出しを目次のように活用いただきつつ、必要な部分を参考にしてください。

 

▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。

カスタマーサクセス(CS)とはどのような意味? 職種としてのCSについても必要な知識を具体的に解説

 

カスタマーサクセスと営業のポイントごとの違い

指を指す手

カスタマーサクセスと営業職はどちらも顧客へ商材やサービスの提案を行うため、両者の違いがはっきり分からないという人も多いかもしれません。カスタマーサクセスと営業職の違いを、業務目的や役割といったポイントごとに解説します。

 

業務目的の違い

カスタマーサクセスの目的は、既存の顧客に対して商材やサービスを通じた成功体験を提供することです。既存顧客と継続して接点を持つなかで課題解決やニーズの充足を提供し、顧客満足度を高め、顧客生涯価値(LTV)を最大化するために業務を行っています。顧客生涯価値とは、端的にいうとその顧客が自社と取引をしている期間すべてのなかで、自社にどれだけの利益をもたらすのかということを表す指標です。つまり、カスタマーサクセスは顧客に満足してもらうだけでなく、その先の自社にとっての利益までをしっかりと視野に入れた活動なのです。

 

特に継続利用によって収益を得るSaaSやITシステム、サブスクリプション型ビジネスにおいてカスタマーサクセスが注目されています。

 

一方、営業職の目的は、主に新規の顧客を獲得することです。商材やサービスの購入・新規契約を獲得するために、インサイドセールス(電話・メールなどの遠隔営業)やフィールドセールス(対面での営業・商談)を行います。商材の購入や新規契約を獲得することで、売上や利益を高めるのが営業職の業務目的です。

 

役割の違い

カスタマーサクセスの主な役割は、営業が獲得した顧客と長期的に良好な関係を構築することです。以下のような業務や施策から商材を通じた成功体験を顧客に与えることで、解約を防いだり、アップセルやクロスセルによる利益向上につなげたりします。

  • 潜在顧客の持つ課題や要望のヒアリング
  • サービス継続利用のためのサポートやフォロー
  • アップセルやクロスセルの提案
  • 解約の阻止

営業職の主な役割は、新規の契約獲得や、商材やサービスの販売です。以下のような業務を通じて、会社の利益を上げていく役割を持っています。

  • 顧客との商談による契約数の増加
  • 見込み顧客(リード)獲得のための商談
  • オンラインや電話で顧客にアプローチするインサイドセールス
  • インサイドセールスで確度を上げた顧客(ホットリード)への商談による契約獲得

 

担当領域の違い

カスタマーサクセスは、営業職が獲得した顧客と長期的な関係を構築します。自社サービスを提供済み、販売済みである顧客に対して課題解決や要望を満たす成功体験を提供することで、契約の継続やアップセル、クロスセルによる利益の増加を図ります。 営業職は、新規の顧客獲得や契約の締結を担当します。カスタマーサクセスが長期的に顧客と関わるのに対して、営業職は見込み顧客へのアプローチから、契約締結までの期間を主に担当するという点が異なります。

 

顧客と関わるタイミングや期間の違い

カスタマーサクセスは契約締結後や商材販売後からコンタクトを開始し、商材やサービスを継続利用してもらうために、長い期間にわたって顧客と関わるのが特徴です。カスタマーサクセスで成果を出すには、長期的な関係構築のなかで、より深い関係性を目指しつつ、気軽に悩みを相談してもらったり、こちらから積極的な提案をおこなったりすることが必須と言えるでしょう。

 

営業職は見込み顧客を新規顧客として獲得するために、新規開拓から契約締結までの間、顧客と密接に関わります。契約締結後も関係や対応を継続するケースはあるものの、カスタマーサクセス部門がある場合には大部分の対応をカスタマーサクセスへ引き渡すことが一般的であるため、顧客と関わる期間はカスタマーサクセスよりも短くなりがちです。

 

業務指標となるKPIの違い

KPIとは、最終的な目標を達成するまでの中間指標となる数値です。カスタマーサクセスと営業職は、利益の向上という最終目標は共通しているものの、業務指標となるKPIは異なります。

 

カスタマーサクセスがKPIとして設定する指標は顧客生涯価値に直結する指標であり、以下の通りです。

  • 解約率
  • アップセル数
  • クロスセル数
  • 継続率 など

営業職がKPIとして設定するのは、利益に直結する以下のような指標です。

  • 商談数
  • 商談成約率
  • 新規購入、契約の売上数
  • 新規購入、契約の金額 など

 

カスタマーサクセスと営業、それぞれに求められるスキルや適性は?

デスク上でのやり取り

カスタマーサクセスと営業職では、業務の主目的や役割が異なるため、必須となるスキルや適性も異なる部分があります。実際に必要となるスキルや適性は企業や業種によっても変わってきますが、ここでは一般的な例を紹介します。

 

カスタマーサクセスの適性

カスタマーサクセスの適性として求められるものは以下の通りです。

  • 課題の発見力
  • 共感力
  • 柔軟性
  • コミュニケーション能力
  • 自社サービスへの理解
  • 情報分析力

カスタマーサクセスは顧客と長期的な関係を構築するための適性やスキルが求められます。たとえば顧客自身が気づいていない課題を発掘し、最適な解決策を提案する能力が求められます。また顧客と良好な関係を持続するためには、常に顧客に寄り添い悩みを深堀りする共感力や、顧客のニーズに応じた提案ができる柔軟性、顧客と円滑なやり取りを経て信頼感を与えるコミュニケーション能力などが求められます。

 

状況に応じて顧客へ最適な提案を行い、アップセルやクロスセルにつなげるための自社サービス全般にわたる深い理解や、長期的に今後の予測など含め俯瞰できる情報分析力なども必要です。

 

営業の適性

営業の適性として求められるスキルには、以下のようなものがあります。

  • コミュニケーション能力
  • ストレス耐性
  • トラブル対応力、解決力

 

営業職は、新規顧客や契約の獲得のためにコミュニケーション能力が求められます。たとえば自社製品やサービスの魅力を分かりやすく伝えるのはもちろん、顧客の話をしっかりと聞けるスキルも重要です。門前払いを避けるために、相手に良い印象を持ってもらうための人当たりの良さなども求められます。

 

また、さまざまなストレスに対して気持ちを切り替えられる精神的な強さも重要です。たとえば強めの態度で門前払いをされたり、話を聞き流されてしまったり、関係性がまだ浅いことによって少しのことでクレームにつながったり、ノルマに対してなかなか契約が取れなかったり、といった様々な面で多くのストレスがかかることもあります。失敗やストレスに対しても「こういうこともあるのだ」という気持ちで切り替え、次へ次へと果敢にチャレンジできるメンタルの強さが求められるでしょう。

 

自分の説明不足や商材のトラブルなどで、営業職はお客様から直接クレームを受けることが多い立場でもあります。クレームを真摯に受け止め、企業の代表として迅速かつ適切な対応を行う能力も求められます。

 

カスタマーサクセスと営業の期待できる平均年収

広げたお札

カスタマーサクセスと営業職は、収入面ではどのような違いがあるでしょうか。

この点は実際に勤めることとなる企業によっても大きく異なる部分であるため一概にはいえませんが、ここではあくまで一般的な例をご紹介します。

例えばカスタマーサクセス部門を新設して力を入れ始めている企業であればカスタマサクセスの年収が高めとなっていたり、市場規模が拡大中の分野で新規顧客の獲得に注力していて営業職の年収を高めに設定していたり、といったケースもありますので、ご参考までに下記一覧をご確認ください。

 

カスタマーサクセスの平均年収

カスタマーサクセスの平均年収は一般的に、概ね300万円台後半〜1200万円です。以下のように、カスタマーサクセス部門内での役職によっても年収相場が異なります。

  • メンバークラス:300万円台後半~600万円
  • リーダークラス:500万円~650万円
  • マネージャークラス:600万円~1200万円

 

メンバークラスは400万円(または300万円台後半)から600万円ほどが年収の目安です。年収は会社の規模や業態によっても変動し、国内のスタートアップやベンチャー企業の場合は300万円台後半から500万円、ITやSaaS関連のメガベンチャーの場合は600万円台となる場合がみられます。

 

リーダークラスの年収は、500〜650万円ほどが目安です。たとえば20代のリーダーで500万円台、30代以降で600万円台というように、年齢によっても年収相場は変動します。インセンティブを導入している外資系企業のリーダークラスの場合などで、700万円以上の年収を期待できる可能性もあるでしょう。

 

マネージャークラスの年収の目安は、600〜1200万円ほどです。うち、スタートアップ企業では600万円台スタートが多く、外資系かつ大手企業の顧客を多く持つ企業の場合には、1000万円以上の年収となっているケースもみられます。マネージャーはカスタマーサクセス部門の統括責任者としてチーム全体を管理しつつ、営業やマーケティングといった他部門とのきめ細やかな調整を行う役割も担っています。年収が高いぶん、つねにカスタマーサクセスにおいて結果を出し続けることが求められると言えるでしょう。

 

営業職の平均収入

営業職の平均年収は、年齢や業種によって変動します。年齢別の営業職の平均収入は概ね以下の通りです。

  • 20代:387万円
  • 30代:514万円
  • 40代:598万円

年齢が上がるにつれて上の役職に付く機会も増えるため、年収が上がっていく傾向にあります。 営業職の業種別の平均年収例は以下の通りです。

  • 医療業界:583万円〜732万円
  • 金融業界:485万円
  • 電子機器製造業界:471万円
  • IT / 通信業界:466万円
  • 不動産業界:431万円
  • 総合商社 / 専門商社:432万円

一般的にみると消費者を対象とした個人営業よりも、企業を対象とした法人営業の方が年収が高い傾向にあります。

 

「カスタマーサクセスと営業は仲が悪い」は本当? 実際のところは?

綱を引き合うシルエット

企業の現場において、営業とカスタマーサクセスが対立する、連携をせずそれぞれが独立して活動している、といったことから「仲が悪い」という話を見聞きしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

 

様々な法人サポートを行っているキューアンドエー株式会社が実施した「2023年度 カスタマーサクセス実態調査(※1)」によると、カスタマーサクセスをすでに導入している企業の19.5%が「他部署との連携が取れていない」ことを課題として挙げています。およそ5社に1社の割合で、カスタマーサクセスと営業をはじめとした他部門との連携が取れていない、関係が良好とは言えないという事例が発生しているということになります。

営業とカスタマーサクセスが対立したり、連携が取れなかったりする理由としてまず考えられるのが、双方の思惑のバッティングです。たとえば営業側から見ると毎月の数値をクリアすることが重要課題であるのに対して、カスタマーサクセスでは長期的な顧客との関係構築を重要課題としています。そのため、例えばカスタマーサクセスが「同系列の新商品がもうすぐ発売されるので待ったほうがよいかも」「この商品はニーズに対してオーバースペックなので、ワンランク下のこちらの商品が適切かも」といった、いわば“正直すぎる”アプローチを行うことで、営業側がつかみかけていた商機を逃がすといったこともあります。一方で、カスタマーサクセスから見れば営業側が数値を重視し過ぎたため自社の商材と顧客のミスマッチが起きてしまい、オンボーディングの手間が増えたり、返品率や解約率が増えたりといった負担を感じたりすることもあるでしょう。

 

これらのバッティングは、双方の部門が連携をしっかり取れる体制を整えることで解決できます。お互いの重要課題や視点、目指す成果が何であるかを共有しつつ、企業として統一した目標を都度設定しつづけることで、同じゴールを見ながら顧客の獲得や既存顧客との関係構築を実現できるでしょう。

 

※1 参考:キューアンドエー株式会社「2023年度 カスタマーサクセス実態調査」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000100715.html

 

売上最大化のためにはカスタマーサクセス部門と営業部門の連携が求められる

握手する手と手

カスタマーサクセス部門と営業部門が連携を取ることで、売上や顧客生涯価値の向上といったさまざまなメリットを得られます。カスタマーサクセス部門と営業部門が現場での活動で取る具体的な連携内容について解説します。

 

適切なタイミング・状況でアップセルやクロスセルをおこなう

アップセルとは上位クラスや上位グレードへの乗り換えの提案、クロスセルはオプションなどの関連商品の追加購入の提案を指します。いずれも利益や顧客生涯価値を最大化するのに有効な施策です。

 

営業とカスタマーサクセスが連携することで、適切なタイミングや状況でアップセルやクロスセルを提案できるようになり、アップセル率やクロスセル率の向上につながります。たとえば営業が把握している顧客の事業内容や規模、先方担当者が持っているビジョンや課題、嗜好などといった情報をカスタマーサクセス担当者に提供することで、カスタマーサクセスは情報を活用した適切な提案ができるでしょう。

 

既存顧客と新規顧客をニーズに合わせてバランスよく獲得する

営業とカスタマーサクセスが連携することで、既存顧客と新規顧客をお互いのニーズに合わせてバランスよく獲得できるようになります。たとえばカスタマーサクセスは見込み顧客のタイプに応じた適切なアプローチ方法を営業へ共有することで、営業は新規の見込み顧客の獲得率向上につながるでしょう。営業は契約後の顧客に発生するリスクやリテラシーなどの情報をカスタマーサクセスへ共有することで、既存顧客と良好な関係を長期的に築くうえで役に立ちます。

 

顧客ニーズのリアルタイムな把握と迅速なサポートをおこなう

営業とカスタマーサクセスが情報共有と緊密なコミュニケーションを取ることで、連携を強化できます。顧客情報やニーズをリアルタイムで把握できるようになるため、営業、カスタマーサクセスともに顧客の課題解決のための支援をそれぞれの分野で迅速に提供できるようになります。その結果契約後の顧客満足度の向上につながり、商材やサービスの解約率の低下が実現できるでしょう。

 

営業からカスタマーサクセスへキャリアチェンジする際のポイント

階段を登るビジネスマン

カスタマーサクセスは比較的新しい職種であり、多くの企業で求人が出されています。営業職としての実務経験を活かして、カスタマーサクセスへの転職も可能です。 営業職からカスタマーサクセスへのキャリアチェンジを検討している人のために、転職時のポイントを解説します。

 

共通する点と異なる点を理解しておく

カスタマーサクセスと営業職は、仕事内容や役割などで共通する点と異なる点があることを理解しておきましょう。

 

たとえば共通する点については、顧客に対するコンサルティング的な提案や関わりを提供することです。営業職でも、自社製品やサービスのメリットや魅力を把握した上で、顧客側の課題解決や導入後の活用方法といった、コンサルティング営業を提供することがあります。カスタマーサクセスでは顧客へ成功体験を与えるために課題の抽出や課題解決といったコンサルティング的な関わりを主体で行うため、営業職でのコンサルティング営業経験が活かせるでしょう。逆にコンサルティング営業の経験があまりなく、クロスセルやアップセル提案なども他の担当者へ任せていたという場合には、カスタマーサクセスで新たに学ぶ部分があるでしょう。

 

カスタマーサクセスと営業職で異なる大きな点としては、営業職は新規顧客の獲得や契約締結がゴールであるのに対して、カスタマーサクセスは顧客との信頼関係を長期に渡って持続し、顧客に成功体験を積んでもらうことが目的となるという点があります。信頼関係をただ短期的に構築することだけが目的ではないため、営業職よりも長期的に顧客と関わっていくことになるという点を覚えておきましょう。

 

広い視野で営業職に取り組んでいた人なら即戦力!

前述通り、同じ営業職でも顧客との関係構築のみを重視していた人よりも、その後の顧客の課題解決や製品の活用、導入後の継続的なサポートまで取り組んでいた人のほうが、カスタマーサクセスの役割にすぐに適応できる可能性が高くなります。広い視野を持って、顧客との将来性を考えたうえでの深い関与まで行っていたという場合には、即戦力のカスタマーサクセス担当者として活躍できるでしょう。

 

カスタマーサクセスと営業は役割が異なるものの、共通する適性や応用できる経験も多い職種

カスタマーサクセスと営業職の役割や業務内容などの違いに加えて、それぞれの平均年収、双方が連携を取る上でのポイントなどについて解説しました。

 

カスタマーサクセスと営業職は異なる役割・業務内容であるものの、顧客と密接に関わる点や利益の向上を常に見据えるといった点で、共通点も多い職種です。共通する適性や応用できる経験も多いため、営業職からカスタマーサクセスへのキャリアチェンジも実現しやすいと言えるでしょう。カスタマーサクセスに興味のある営業職の方は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスでは営業職からカスタマーサクセスへのキャリアチェンジの実績が多数ございます。カスタマーサクセス業務への理解が深いキャリアアドバイザーが求職者様の営業経験がカスタマーサクセス職にどう活かせるかを踏まえ求人を提案し、どの部分をアピールするとより効果的かを踏まえ面接対策を行います。カスタマーサクセス職に転職したい方はぜひ以下ボタンより、面談予約してください。

 

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