2025年2月28日公開
最終更新日:2025年2月28日
カスタマーサクセス成功事例9選!BtoB・BtoCのポイントを解説
カスタマーサクセスとは、顧客の成功を支援し、長期的な関係を築くための取り組みを示します。BtoB・BtoCを問わず、顧客の満足度やロイヤルティを向上させ、継続的な収益につなげるための重要な概念です。
しかし、多くの企業が「カスタマーサクセスの定義が曖昧」「顧客対応と何が違うのか」「成功事例が分からず、実践イメージが持てない」といった課題を抱えているのではないでしょうか。
BtoBとBtoCでは求められるカスタマーサクセスの手法やコツが異なるため、適切なアプローチを選ぶことが成功の鍵となります。
本記事では、カスタマーサクセスの基本概念を整理しながら、BtoBとBtoCそれぞれの成功事例を9つ紹介します。また、それぞれの事例から学べる重要なポイントについても解説するため、これからカスタマーサクセスとして活躍したいと考えている方も、参考にしていただければ幸いです。
カスタマーサクセス業界の現状とカスタマーサクセスが必要とされる背景
カスタマーサクセスとは、顧客の成功を支援することで、自社の成長を促す戦略的な取り組みです。
従来のカスタマーサポートが主に問題解決を目的とするのに対し、カスタマーサクセスは顧客が製品やサービスを最大限活用し、継続的な価値を得られるよう支援する点が特徴です。
近年、このカスタマーサクセスの重要性が急速に高まっています。とくにSaaSの普及により、単発の売り切り型ではなく、契約後も継続的に価値を提供し続けることが成功へと直結するようになりました。
SaaS企業は、顧客生涯価値(LTV:Lifetime Value)を最大化するために、契約後の顧客体験を重視せざるを得ません。
また、SNSやレビューサイトの普及により、顧客体験がブランド価値や売上に直結する時代となりました。
顧客が満足できなければ解約リスクが高まるだけでなく、悪い評判が瞬時に広まり、新規顧客獲得にも悪影響を及ぼします。そのため、顧客満足度の向上に取り組むだけでなく、顧客の成功を共に目指す姿勢が必要です。
▼カスタマーサクセスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。
カスタマーサクセス(CS)とはどのような意味? 職種としてのCSについても必要な知識を具体的に解説
カスタマーサクセスの主な役割
カスタマーサクセスが果たす役割は多岐にわたりますが、主に次の三つが中心となります。
顧客定着(リテンション)の促進
顧客がサービスを継続して利用するためには、価値を実感してもらう必要があります。オンボーディングプロセスでの手厚いサポートや定期的な活用支援が重要です。
顧客の成功体験の創出
顧客が設定した目標を達成できるよう、データを活用した支援を実施します。たとえば、利用状況を分析して適切な機能を提案するなど、課題解決を伴走型で支援します。
収益拡大(アップセル・クロスセル)の推進
既存顧客に対して新しい機能やサービスを提案し、契約規模を拡大する活動も重要です。とくにBtoB領域では、顧客の事業成長に合わせた提案が信頼関係の構築につながります。
BtoCのカスタマーサクセス成功事例5選
ここからは、BtoC領域におけるカスタマーサクセスの成功事例を5つ取り上げます。
スターバックス
スターバックスは、急成長する新興コーヒーチェーンやサードウェーブ系カフェの台頭により、既存顧客が他ブランドに流出するリスクに直面していました。
消費者の選択肢が増え、価格やクオリティ、体験価値を求める声が高まる中、顧客ロイヤルティの維持が大きな課題となっていたのです。
さらに、同社は膨大な購買データを保有していながら、それを個別の顧客体験に十分に反映できていませんでした。従来のプロモーションは一律のキャンペーンが中心で、個々の嗜好や購買履歴を活用したパーソナライズ施策が不十分だったため、リピート率の向上が急務でした。
こうした状況を打開するため、スターバックスは「Starbucks Rewards」の強化に乗り出します。その中心となったのが、モバイルアプリを活用したデジタル体験の向上です。
顧客はアプリを通じてポイントを貯めて、特典を受け取る仕組みが整えられました。さらに、過去の購買履歴を分析し、個々の嗜好に応じたクーポンやキャンペーンを配信することで、パーソナライズされた購買体験を提供しました。
加えて、モバイルオーダー機能を実装し、事前に注文と決済を行えるようにすることで、店舗での待ち時間を短縮し、顧客体験の向上に成功。
これらの施策の結果、スターバックスのロイヤルティプログラムは以下の成果を上げました。
・モバイルアプリの会員数は米国内で3,000万人を突破
・モバイルオーダーの利用が拡大し、全売上の25%を占めるまでに成長
・アプリを利用する顧客の再訪率が非利用者に比べて2倍に上昇
スターバックスは競争が激化する市場においても、高い顧客ロイヤルティを維持しながら、デジタル戦略を軸とした成長モデルを確立したのです。
花王
花王株式会社は、消費財メーカーとして、顧客理解とデジタル技術の活用を通じてカスタマーサクセスを推進しています。
DX戦略推進センター内にカスタマーサクセス部を設置し、事業部門と連携しながら、データを活用したパーソナライズ施策や顧客との継続的な関係構築に注力しています。
具体的には、LINEアプリを活用した1対1のコミュニケーションを展開し、各顧客に応じたスキンケアやヘアケアに関するアドバイスを提供。顧客は自身の悩みにあった製品情報を得られるため、ブランドへの信頼度が向上しています。
また、データ分析ツール「Dockpit」や「story bank」を活用し、購買履歴やWeb上の行動データをもとに、興味・関心や属性ごとの違いを分析。たとえば、「20代女性は○○成分に関心が高い」「○○の購買頻度が上がるタイミング」などのインサイトを抽出し、マーケティング施策や新商品開発に活かしています。
さらに、オンラインコミュニティによる顧客との双方向型コミュニケーションを強化。ここでは、AIを活用した肌のくすみ分析やユーザー同士の情報交換が可能であり、企業側も顧客のリアルな声を収集することで、新たな製品開発やサービス向上につなげています。
これらの取り組みにより、花王はパーソナライズ化したコンテンツ提供とデータドリブンなマーケティングを実現し、顧客満足度とブランドロイヤルティの向上を実現しています。
Zappos
Zapposは、顧客満足を最優先に考えた独自の企業文化と戦略によって、卓越したカスタマーサービスを実現しているオンライン靴販売会社です。
まず、顧客が安心して購入できるよう、送料無料・返品無料(365日以内)、翌日配送、24時間365日のカスタマーサポートといったサポートを提供しています。「カスタマー・ロイヤルティ・チーム(CLT)」は、顧客一人ひとりに寄り添った対応で感動を生むサービスを実践していることで有名です。
その象徴的なエピソードの一つが、病床の母親のために靴を購入した顧客への対応です。返品を申し出た顧客に対し、Zapposは自宅への集荷を手配し、お悔やみの花束とメッセージカードを送付し、顧客を感動させました。
これは一例に過ぎず、Zapposでは社員一人ひとりが顧客の気持ちを考え、最適な対応を判断できるよう、カスタマーサポートに厳格なマニュアルを設けていません。
各社員に裁量を与えることで、画一的な対応ではなく、顧客ごとにパーソナライズされたサービスを提供できる体制を整えています。
また、Zapposは顧客サービスの文化を全社で共有するため、CEOを含む全社員が繁忙期にカスタマーサポートを担当する「ホリデー・ヘルパー」制度を導入。実際に顧客と接することで、企業全体が顧客視点を理解し、一体感を強めています。
さらに、Amazon Web Services(AWS)を活用したデータ分析や機械学習により、ユーザーごとにパーソナライズされた検索結果やレコメンデーションを活用し、顧客が求める商品をより的確に提案できるようになっています。
この顧客中心のアプローチにより、同社は高い顧客満足度を維持し、リピーターの獲得にも成功。結果として、業界内でも圧倒的な支持を得る企業へと成長しました。
メルカリジャパン
メルカリは、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリーマーケットアプリ「メルカリ」を提供する日本企業です。
同社は、顧客体験の向上を最重要視し、多様な形で顧客の声(VoC)を収集・分析しています。具体的には、「VoC読み込み合宿」や「メルカリサロン」といった取り組みを通じて、顧客の意見を直接収集し、プロダクト改善に活かしているのです。
また、テクノロジー以外の部分でも価値を提供するため、「らくらくメルカリ便」や「ゆうゆうメルカリ便」などの配送サービスの強化に取り組み、ユーザーが手間なく安心して取引できる環境を整えています。
さらに、カスタマーサービス部門とプロダクト部門が連携し、顧客の声をプロダクト開発に反映する体制を構築している点も特徴です。たとえば、カスタマーサービス部門内の「Customer Service Product(CSP)」チームは、取引データや問い合わせ内容を分析し、プロダクト改善のフィードバックを行っています。
このように、メルカリは全社的に顧客視点を重視し、顧客満足度の向上とプロダクト価値の最大化を追求しています。
りそなホールディングス
りそなホールディングスは、顧客満足度の向上とDXを加速させるため、2021年にデジタル部門を再編し、カスタマーサクセス部を新設しました。この部門では、デジタル技術を活用した新たな顧客体験の創出を目指し、個人・法人それぞれのニーズに応じた価値提供を推進しています。
個人向けの施策としては、りそなグループアプリの企画・開発を強化。このアプリは累計820万ダウンロードを突破し、口座管理や資産運用機能の充実により、利用者の利便性を大幅に向上させました。
法人向けには、カスタマーサクセス部内に「法人決済推進室」を設置し、決済関連商品の提案を強化。支店と連携しながら、企業の業務効率化やDX推進を支援する決済ソリューションを提供しています。
これらの取り組みを通じて、りそなホールディングスは顧客のニーズに寄り添ったサービスを提供し、個人・法人双方の利便性向上を実現。デジタルの力を活かしながら、持続可能なDXの推進と顧客満足度の向上を実現しています。
BtoBのカスタマーサクセスの成功事例4選
BtoB領域では、顧客のビジネス成功を支援して、契約の継続や売上の拡大を目指します。とくにSaaSやクラウドサービスなどの分野において、カスタマーサクセスは競争力を維持・強化するための重要な役割を果たします。
ここでは、成功を収めた4つの事例を紹介します。
SmartHR
SmartHRは、クラウド人事労務ソフトを提供する企業であり、顧客満足度の向上を軸に独自のカスタマーサクセス戦略を展開しています。
サービス開始当初からチャットサポートを導入し、ユーザーのフィードバックをもとに改善を重ねることで、継続利用率99.5%という高い数値を達成しました。
この成果を支えるのは、顧客の声をプロダクト開発に積極的に反映する姿勢です。ユーザーから寄せられた要望をもとに、業務効率を向上させる新機能を追加することで、使いやすさが向上し、長期的な利用につながっています。
また、企業規模や導入フェーズに応じてカスタマーサクセスチームを細分化し、適切な支援をすることで、多様なニーズに対応しています。
加えて、SmartHRは社内の業務効率化にも注力。タスク管理ツール「Asana」を導入して、プロジェクトの進捗管理や部門間の連携を強化し、問い合わせ対応の迅速化を実現しました。
このように、SmartHRは顧客中心のアプローチと社内体制の強化を両輪とし、顧客満足度の向上とサービスの継続利用を促進しています。
カオナビ
カオナビは、社員の個性や才能を可視化し、戦略的人事を支援するタレントマネジメントシステムを提供しています。
2021年10月、カオナビはカスタマーサクセス部門を再編し、「カスタマーリレーショングループ」を新設。このグループは、顧客との関係構築と課題解決に特化し、人事戦略のサポートやサービスの活用提案を通じて、顧客満足度の向上を目指しています。
カスタマーリレーショングループは、顧客からのフィードバックを収集し、開発チームやマーケティング部門と連携してサービス改善を推進。
たとえば、導入企業から寄せられた「評価制度の設計をより柔軟にしたい」という要望をもとに、新機能を追加するといった具合です。この対応により、更新率の向上や契約継続率の安定につながっています。
また、カオナビはユーザー同士が活用事例を共有し学び合う場として「カオナビキャンパス」を運営している点も特徴です。定期的なセミナーやイベントを通じて、他社の成功事例を学ぶ機会を提供し、より効果的な活用方法の普及を支援しています。
このように、カオナビはカスタマーサクセスの強化、顧客の声を反映したプロダクト改善、ユーザーコミュニティの活用という3つの軸で、サービスの価値を最大化しています。
Sansan
Sansan株式会社は、名刺管理サービス「Sansan」を提供する企業であり、顧客の成功を最優先とするカスタマーサクセス部門を国内でも早い段階から設立し、顧客満足度の向上に努めています。
2008年にサービス部として設立されたCS部は、2012年に正式にカスタマーサクセス部として発足しました。当初より、解約率10%を目指し、顧客の継続利用を促進するための基盤整備に注力してきました。
CS部のミッションは「プロダクトの価値を届け、想像を超える未来にお客さまを導く」であり、顧客のニーズを的確に捉え、サービスの進化をリードする存在を目指しています。具体的には、データベースの構築・活用を通じて、顧客の営業活動を変革し、ビジネスの成功に貢献しています。
また、CS部は顧客のビジョン達成や事業課題解決のため、企業変革論にもとづくコンサルティングサービスも提供。これにより、顧客の事業方針や営業戦略を踏まえた最適な提案を行い、顧客の成功に貢献できています。
さらに、CS部内ではメンバーのコンサルティングスキル向上を目的とした教育プログラムを整備し、組織力の強化に努めているのです。
Snowflake
Snowflakeは、AIデータプラットフォームを提供する企業であり、従量課金型の「コンサンプションモデル」を採用しています。このモデルでは、顧客が実際にプロダクトを活用しなければ売上が発生しないため、顧客の成功がそのまま企業の成長につながります。
こうしたビジネスモデルの特性を踏まえ、Snowflakeは従来のカスタマーサクセス部門を廃止し、営業、セールスエンジニア、プロフェッショナルサービス、マーケティングが一体となる「ワンチーム体制」を構築しました。
この体制では、営業が関係構築と課題のヒアリングを担当し、セールスエンジニアが技術的なサポートを提供。プロフェッショナルサービスが導入後の活用支援を行い、マーケティングは顧客企業内での定着を促進するイベントを企画します。
たとえば、NTTドコモの支援においては、社内データ活用を推進するためにコンテストを実施。その結果、わずか1ヶ月でSnowflakeの利用量が5倍に増加しました。
さらに、プロフェッショナルサービスは単なる導入支援にとどまらず、無駄なデータ処理を削減し「最適なコスト」での活用を支援。コスト削減を提案しながらも、長期的な利用促進につなげています。
Snowflakeの社長は「Customer Firstを掲げるだけでなく、本当に実現できているかを問い続けることが重要」と語り、単なる理念にとどまらない実践的なアプローチを強調しています。
特定の部門に依存せず、全社で顧客の成功を支援するSnowflakeの姿勢は、カスタマーサクセスの新たな在り方を示しているといえるでしょう。
成功事例から見るBtoBとBtoCカスタマーサクセスの違い
ここまで、BtoCとBtoBにおけるカスタマーサクセスの成功事例を紹介してきました。次に、これらの事例をもとに、BtoBとBtoCにおけるカスタマーサクセスの違いについて、いくつかの視点から考察します。
成功の定義
BtoBとBtoCでは、カスタマーサクセスにおける「成功」の定義が大きく異なります。
BtoBでは、成功は「顧客企業の業務効率向上」や「売上拡大」など、数値で測定可能な形で定義されることが一般的です。企業では複数の意思決定者が関与するため、導入のメリットを明確に示し、ROI(投資対効果)を可視化することが重要になります。
しかし、売り上げ拡大といった最終的な成功は短期間で達成するのが難しく、「成果が出るまで待てない」と解約を検討する顧客が出てくる可能性もあります。
そこで、顧客に早めの成功体験を提供するため、成功を「導入初期」「中期」「長期」に分け、段階的に達成を目指すアプローチが効果的です。
・導入初期:ツールの操作習得、基本機能の活用
・中期:業務時間の短縮、社内定着率の向上
・長期:売上向上、契約更新率の改善
このように小さな成功を積み重ねることで、顧客のモチベーションを維持し、解約リスクを低減できます。KPIとしては、業務時間の短縮率や契約更新率など、短期的な成果が測定できる指標を設定し、進捗をモニタリングするとよいでしょう。
一方、BtoCでは「顧客の主観的な満足度」が成功のカギとなります。個人の感情やブランド体験が購買行動に大きく影響するため、製品の機能的な価値だけでなく、心理的な満足の提供が求められます。
成功指標は、NPS(ネット・プロモーター・スコア)やアプリ利用率など、感覚的な満足度と行動データの両面から測定することが重要です。
サポート体制
BtoBのカスタマーサクセスでは、企業ごとに異なるニーズや課題に対応するため、個別最適化されたサポートが求められます。
専任のカスタマーサクセスマネージャーを配置し、顧客の導入支援や定期的なビジネスレビューを実施することで、導入効果を最大化するアプローチが一般的です。
また、ウェビナーやワークショップを通じた活用支援、CRMに蓄積したデータやヘルススコア分析によるリスク顧客の早期発見なども重要な施策です。BtoBでは、顧客ごとの課題に寄り添う「ハイタッチ型支援」がカスタマーサクセスの成功を左右します。
一方、BtoCのカスタマーサクセスでは、大量の顧客を効率的に支援することが重要になります。たとえば、チャットボットを活用して問い合わせ対応時間を短縮、FAQページやセルフサポート機能を充実させるなど「テックタッチ型支援」が効果的です。
このように、BtoBでは個別最適化を重視したハイタッチ型支援、BtoCではテクノロジーを活用したテックタッチ型支援が、それぞれの成功につながります。
サポート対象となる人数
BtoBの場合、顧客数は限られているため、少人数の担当者が特定の企業に深く関わる「専任サポート型」のアプローチが一般的です。
カスタマーサクセスマネージャーが担当制でサポートを行い、定期的なミーティングや活用支援を実施して、導入効果を最大化します。顧客数が多い場合、多くの売上をもたらす顧客に専任サービスを提供、小口顧客にはチャットボットやナレッジベースなど自己解決型サポートを届けるとよいでしょう。
一方、BtoCでは大量の顧客を対象とするため、チャットボットやサポート・資料ページなどのテックタッチ型支援が中心となります。
事例から学ぶカスタマーサクセスの成功ポイント
ここでは、成功企業が重視している4つのポイントを詳しく見ていきましょう。
徹底した顧客目線
カスタマーサクセス成功の絶対条件は、顧客の成功を自社の成功よりも優先して考える姿勢です。優れたカスタマーサクセスを提供する全ての企業が、この姿勢を徹底しているといっても過言ではありません。
顧客がサービスを最大限に活用できるよう、導入初期の支援を強化し、継続的なサポートを届けることで、利用の定着と満足度向上につながります。また、単に問題解決をするだけでなく、顧客の期待を超える体験の提供が、ロイヤルティ向上にも貢献するのです。
徹底した顧客目線を持ち、長期的な関係構築を意識することで、顧客と企業の双方にとって持続的な成功が実現できるでしょう。
部門間の連携強化
カスタマーサクセスの役割は、顧客満足度の向上だけでなく、売上拡大にも直結します。そのため、営業部門やマーケティング部門との連携が不可欠です。
カスタマーサクセスが顧客の活用状況を正確に把握し、そのデータを営業やマーケティングと共有することで、契約更新やアップセルの最適なタイミングを見極められます。
また、マーケティングと協力し、顧客の成功事例を活用したコンテンツを発信すれば、新規顧客の獲得や既存顧客のエンゲージメント強化にもつながるでしょう。
部門間の連携を強化し、顧客のニーズに対して一貫性のある対応を行うことで、長期的な関係構築と売上の最大化を実現できます。
データにもとづく意志決定
カスタマーサクセスでは、感覚的な判断ではなく、データにもとづいた意思決定が求められます。顧客の利用状況や満足度を定量的に把握し、継続率の向上やアップセルの機会創出につなげることが重要です。
たとえば、ヘルススコアの分析を通じて解約リスクの高い顧客を特定して適切なフォローを実施する、NPSやアクティブ率を指標として顧客満足度を測定する、といった方法が有効です。
また、カスタマーサクセスが蓄積したデータを営業やマーケティングと共有することで、より精度の高い施策立案が可能になります。
データドリブンなアプローチを徹底し、顧客の成功を継続的に支援すれば、自社の成長にもつながるでしょう。
長期的な視点でのアップセル/クロスセル提案
アップセルやクロスセルは、自社の成長に不可欠な要素ですが、顧客のニーズを無視した提案は信頼関係を損ないます。重要なのは、顧客の成功を最優先に考え、必要とするタイミングで適切な提案を行うことです。
そのためには、顧客の利用状況や課題を継続的に把握する必要があります。
たとえば、製品の使用データを分析し、特定の機能の利用頻度が高い顧客に対して、上位プランを提案する、導入後の成長フェーズに合わせて追加機能を案内する、といったアプローチが効果的です。
アップセルやクロスセルを単なる売上拡大の手段ではなく、顧客の成功を支援するプロセスの一部として位置づけることが重要です。
成功事例で見るカスタマーサクセスに求められるスキル
ここでは、これまでの成功事例を踏まえて、カスタマーサクセス担当者に求められる4つの主要スキルについて解説します。ここでは、これまでの成功事例を踏まえて、カスタマーサクセス担当者に求められる4つの主要スキルについて解説します。
コミュニケーションスキル
カスタマーサクセスにおいて、コミュニケーションスキルは最も重要な要素の一つです。
顧客の課題を正確に把握し、適切な解決策を提案するためには、相手の言葉を深く理解し、わかりやすく伝える力が求められます。
単に情報を提供するだけでなく、顧客の状況やニーズを汲み取り、適切なサポートを行うことで、長期的な信頼関係の構築につながります。
課題発見・解決スキル
顧客が自ら気づいていない課題を発見し、解決に導く力は、能動的なカスタマーサクセス活動を実現するために不可欠なスキルです。
顧客は、必ずしも自身の課題を明確に把握しているわけではなく、システムの活用方法や業務改善の可能性を見落としているケースは少なくありません。
カスタマーサクセス担当者は、顧客の利用状況やデータをもとに課題を特定し、適切な解決策を提示することで、サービスの価値を最大化する役割を担います。
データ分析スキル
データドリブンな意思決定は、カスタマーサクセス活動を成功に導く鍵となります。顧客の行動パターンや利用状況を分析することで、課題の早期発見が可能となり、成功事例の再現性を高められます。
データにもとづいたサポートを行うことで、単なる問い合わせ対応ではなく、顧客の成長を支援する戦略的なカスタマーサクセスが実現できるのです。
ロジカルシンキング
顧客の課題を構造的に整理し、論理的な解決策を立案するためには、ロジカルシンキング(論理的思考力)が不可欠です。
とくにBtoB領域では、複雑な業務フローや多様な関係者が絡むため、課題の本質を見極め、体系的に解決策を導き出すスキルが求められます。感覚や経験則に頼るのではなく、論理的なアプローチによって顧客と共通の理解を築くことで、効果的な支援を行えます。
成功事例で見るカスタマーサクセスに向いている人物像
カスタマーサクセスの仕事には、顧客の成功を支援するための多様なスキルが必要ですが、それに加えて「適性」も重要な要素となります。ここでは、成功事例から見えてきた、カスタマーサクセスに向いている人物像を4つ紹介します。
顧客の成功を自分事化できる人
カスタマーサクセスは、顧客のビジネス目標や課題を自社の課題として捉え、主体的に支援する姿勢が不可欠です。単なる受け身の対応ではなく、「顧客の成功=自社の成功」という視点を持つことで、積極的なアプローチが可能となります。
問題解決を楽しめる人
カスタマーサクセスは、顧客ごとに異なる課題を解決する仕事です。顧客ニーズや課題を分析し、最適な解決策を提案するためには、未知の問題に直面しても前向きに取り組む姿勢が求められます。
単に問題を処理するのではなく、改善の機会と捉え、より良い仕組みを構築しようとする姿勢が、成果につながります。
コミュニケーションをいとわない人
カスタマーサクセスは、顧客との信頼関係を築く役割であるため、積極的なコミュニケーションが不可欠です。
ただ情報を伝えるだけでなく、顧客の声に耳を傾け、共感しながら最適な支援を提案できる人が適しています。
顧客の課題や要望を的確に理解し、適切な解決策を提供することで、サービスの価値を最大化し、長期的な関係構築につなげられます。
主体的に行動し、顧客ニーズを生み出せる人
顧客ニーズは、必ずしも明確に表れているわけではありません。
カスタマーサクセス担当者には、顧客の現状や業界動向を深く理解し、潜在的な課題を見つけ出し、適切なソリューションを提示する力が求められます。
また、顧客からの要望を待つのではなく、積極的に関与し、顧客がまだ気づいていない価値を提供することで、長期的な成功へと導くことが重要です。
カスタマーサクセスを成功させるために
本記事では、BtoB・BtoCにおけるカスタマーサクセスの重要なポイントを紹介しました。
成功企業に共通するのは、徹底した顧客目線、データドリブンなアプローチ、そして部門間の連携です。これらを実現することで、顧客満足度の向上だけでなく、契約継続率の改善や売上拡大にもつながります。
そして、これらの取り組みを支える最も重要な要素が「人材」です。顧客の成功を自分ごととして捉え、積極的に価値提供を行う姿勢が、カスタマーサクセスの成果を左右します。
企業全体で顧客志向の文化を醸成し、適切なサポート体制を整えることで、顧客の成功を支援できるでしょう。
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