2024年9月28日公開
最終更新日:2024年11月17日
SaaS企業でカスタマーサクセスの募集が多い理由とは?SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスの役割を解説
SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスとは?
SaaSとは
SaaSとは「Software as a Service」の略のことで、サブスクリプションモデル(継続課金モデル)によって、企業が直接プロダクトを所有せずインターネット上でソフトウェアを提供するサービスのことで、通常は事業者向け(BtoB)サービスを指します。
SaaSを利用する企業は自社でソフトウェアや、そのソフトウェアを動かす環境を購入せずに月額または年額の費用を負担すればよいため、一度に多額の購入費用を払う必要がありません。そのためソフトウェアの導入ハードルが低く、DXの重要性が認知される中で、あらゆる企業活動にソフトウェアが入るようになってきています。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを最大限に活用することで顧客の課題解決に貢献し、ビジネス成功を実現できるよう能動的に支援する活動、あるいはそうした活動に取り組む役割・職種・組織を指します。
顧客のビジネス成功に向けて伴走しながら課題解決していく役割ですが、最終的には顧客が自走して課題解決していけるよう導くことを目指します。
また、カスタマーサクセスポジションを採用/配置する企業の目的はLTV(顧客生涯価値)の向上です。そのため、サービスの解約率低減やアップセル・クロスセルによる顧客単価増がカスタマーサクセス職のミッションとなります。
また、顧客のフェーズによって顧客のビジネス成功に向けた支援の内容が変わります。
1.オンボーディング
オンボーディングは顧客が実際に契約した後、サービスを社内に導入していく直後のフェーズです。サービスの解約率を抑える上でもっとも重要なフェーズとなります。
導入直後であるため、サービスの活用方法理解のための支援を中心とし、自社サービス利用への熱量が高いうちにオンボーディングプロセスを完了させることを目指します。
最初のキックオフミーティングにて顧客と共に自社サービスを利用して目指すゴールとそのゴール到達のための課題を整理し、認識合わせを行います。その後、整理した項目に従って、導入のためのステップとスケジュールを作成し、実行していきます。
2.アダプション
アダプションとは、導入後に本格的にサービスを運用・活用し、定着を行っていくフェーズです。顧客の自社サービスの活用度をヒアリングやデータを元にしてモニタリングし、必要に応じて適切な提案を行います。この工程の目的としては、サービス活用率が落ちており解約リスクのある顧客のフォロー(解約阻止)や、活用率を高めることでアップセルやクロスセル提案につなげることや、継続的に接点を持つことで解約リスクを低減するなどが挙げられます。
3.エクスパンション
エクスパンションとは、顧客の自社サービスの活用をさらに拡大するフェーズです。契約の更新や、顧客の利用単価を上げるためのアップセル・クロスセルがこのフェーズに含まれます。SaaSなどのサブスクリプション型サービスでは安価なプランからスタートし、活用度合を高めていく過程で上位の高価なプランに移行することや、一部の店舗や組織で活用をスタートし、活用度を高めていく過程で利用範囲を広げるということも多く、売上や利益を維持・拡大していくためにエクスパンションのプロセスが重要になります。
4.プロダクトへのフィードバック
カスタマーサクセス担当が介在することで顧客の課題解決に貢献し、ビジネスの成功に寄与することも重要な役割ですが、同時にサービスの価値最大化に貢献することも重要な役割です。顧客に継続的に接点を持ち、顧客インサイトを得ているカスタマーサクセスが機能追加や機能改善に意見をすることでサービスの価値最大化に貢献をします。
営業職との違い
カスタマーサクセス職が既存顧客の課題解決に貢献し、ビジネス成功を実現できるよう能動的に支援しながらLTV(ライフタイムバリュー)を最大化させることが役割であるのに対し、営業職では新規顧客の獲得が役割となります。自身で獲得した新規顧客の問い合わせ対応などを行うケースもありますが、できる限り既存顧客の対応時間を減らし新規顧客の獲得へ時間を集中するよう求められるケースが一般的です。
SaaSビジネスでカスタマーサクセスが重要視される3つの理由
サービスの継続率を高めLTVを最大化するため
SaaSビジネスで収益を高めるには、既存顧客の契約更新率を高め、継続的に利用を続けてもらうことで収益を積み上げていくことが必要です。新規顧客を獲得しても継続率が低く解約が続く状態であれば、バケツの底に穴があいている状態でありいくら顧客獲得をしても収益を上げていくことが困難になります。
SaaSビジネスは初期費用の小ささから開始しやすいものの解約もしやすい、という特徴があるため解約率を下げることに注力していくことが合理的な判断になります。
アップセル・クロスセルで顧客単価を上げLTVを最大化するため
もともと初期費用の低さから開始しやすい特徴のあるSaaSビジネスですが、同じサービスの中でもさらに開始しやすい低価格のプランを用意し(無料プランの場合もある)まずは顧客と接点を持つ(あるいはアカウントを開く)ことからスタートし、その後上位プランにアップセル(あるいは無料プランから有料化)していくことで顧客単価を上げていくという戦術を取る企業も多いです。さらに、オプション料金含め別のサービスも同時利用してもらうことで顧客単価を上げていく場合もあります。顧客単価を上げるためには最初に顧客が導入したプランの段階で顧客に満足してもらい、より積極活用したいというニーズを引き出す必要があるため、カスタマーサクセスを配置し顧客単価を高めていくという判断をする企業が多いです。
カスタマーサクセスの人件費を投資回収できるため
SaaS以外のサブスクリプション型のサービスも顧客に継続利用をしてもらう・顧客単価を上げることでLTVを最大化していきたいという目的を持っています。例えばNetflix、AmazonプライムなどのBtoCサービスがその代表例です。ただこういったBtoCのサービスにはカスタマーサクセスが配置されることはほとんどありません。
なぜなら1件あたりの顧客単価が低く、カスタマーサクセスを配置し解約率が低減できたとしても人件費の方が高くついてしまい利益ではマイナスになってしまうためです。
一方SaaSビジネスの場合顧客は法人であり1件あたりの顧客単価も高いためカスタマーサクセスを配置し、人件費を投資するに見合う利益の向上が見込めるためSaaS企業ではカスタマーサクセスを積極的に採用するニーズが強まります。
SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスの支援例
タスク管理タイプ
レガシー業界(ITリテラシーが高くない業界)向けにDXをするサービスに多く、担当者が期日通りにタスクを遂行できるようモチベーションを高め、推進していくタイプの業務です。高いコミュニケーション能力と多くの顧客を抱える中で効率よく仕事を進めていける能力が必要となります。
コンサルティングタイプ
マーケティング支援系のSaaSに多く、サービス本体だけではビジネス成功に導くことが難しい場合において、カスタマーサクセス担当が課題の整理や解決策の提示などコンサルティングを実施していくことで顧客の成功を実現するタイプの業務です。労務支援系SaaSなど専門の知識が必要な領域でのコンサルティングなども含まれます。特定の領域に対する知識や課題解決提案能力が必要となります。
大規模システム導入タイプ
全社横断的に導入する必要があるSaaSに多く、顧客のステークホルダーを巻き込みながらキーマンの選定や推進役のフォローアップなど難易度の高いコミュニケーションスキルとプロジェクトマネジメントスキルが必要となります。また、既存のシステムとの連携を考慮する必要があるシステム導入にといては、ITリテラシーがあることも求められます。
SaaSビジネス以外でのカスタマーサクセス募集例
SaaSビジネス以外でカスタマーサクセスポジションの募集が多い業界としては、人材系ビジネスです。多くの業界・会社で人材不足が課題になっているため人材リソースの確保に多額の費用をかけている企業が多く、企業の採用課題解決に貢献しビジネス成功を実現できるよう能動的に支援するためカスタマーサクセスを採用・配置しているケースがあります。
例えば株式会社タイミー社ではスキマバイトアプリを提供し、採用課題解決に貢献しながら収益改善プランを提案することで導入拠点数や店舗数を増やすことでLTVを高める役割を担います。
【カスタマーサクセス/東京本社】スキマバイトアプリ「タイミー(Timee)」のカスタマーサクセス
9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスでは中期的なキャリアプランやこれまでのご経歴をお聞かせいただきながら具体的にマッチするSaaSビジネスのカスタマーサクセス求人を提案させていただきます。
SaaSビジネスのカスタマーサクセス職に転職をしたい方はぜひ以下ボタンより、面談予約してください。
カスタマーサクセス基礎知識のおすすめ記事
-
2024/11/10
カスタマーサクセスとコンサルの違いは? 立場や役割の違い、求められるスキルや転職時のポイントを解説
-
2024/08/20
カスタマーサクセス職でリモートワーク・在宅勤務はできる?
-
2024/08/20
カスタマーサクセスは未経験でもなれる?
-
2024/08/21
カスタマーサクセスの年収は?インセンティブはもらえる?