2024/09/02投稿者:9Eキャリアカスタマーサクセス編集部

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは?

顧客のビジネスを成功に導く「カスタマーサクセス」と、顧客の問題を解決する「カスタマーサポート」。両者は似ているようで、そのミッションや役割は大きく異なります。

 

本記事では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの根本的な違いを、役割、KPI、求められるスキルなど様々な角度から徹底解説します。

 

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カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを最大限に活用することで顧客の課題解決に貢献し、ビジネス成功を実現できるよう能動的に支援する活動、あるいはそうした活動に取り組む役割・職種・組織を指します。

顧客のビジネス成功に向けて伴走しながら課題解決していく役割ですが、最終的には顧客が自走して課題解決していけるよう導くことを目指します。

また、カスタマーサクセスポジションを採用/配置する企業の目的はLTV(顧客生涯価値)の向上です。そのため、サービスの解約率低減やアップセル・クロスセルによる顧客単価増がカスタマーサクセス職のミッションとなります。

また、顧客のフェーズによって顧客のビジネス成功に向けた支援の内容が変わります。

 

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1.オンボーディング

オンボーディングは顧客が実際に契約した後、サービスを社内に導入していく直後のフェーズです。サービスの解約率を抑える上でもっとも重要なフェーズとなります。

導入直後であるため、サービスの活用方法理解のための支援を中心とし、自社サービス利用への熱量が高いうちにオンボーディングプロセスを完了させることを目指します。

最初のキックオフミーティングにて顧客と共に自社サービスを利用して目指すゴールとそのゴール到達のための課題を整理し、認識合わせを行います。その後、整理した項目に従って、導入のためのステップとスケジュールを作成し、実行していきます。

 

2.アダプション

アダプションとは、導入後に本格的にサービスを運用・活用し、定着を行っていくフェーズです。顧客の自社サービスの活用度をヒアリングやデータを元にしてモニタリングし、必要に応じて適切な提案を行います。この工程の目的としては、サービス活用率が落ちており解約リスクのある顧客のフォロー(解約阻止)や、活用率を高めることでアップセルやクロスセル提案につなげることや、継続的に接点を持つことで解約リスクを低減するなどが挙げられます。

 

3.エクスパンション

エクスパンションとは、顧客の自社サービスの活用をさらに拡大するフェーズです。契約の更新や、顧客の利用単価を上げるためのアップセル・クロスセルがこのフェーズに含まれます。SaaSなどのサブスクリプション型サービスでは安価なプランからスタートし、活用度合を高めていく過程で上位の高価なプランに移行することや、一部の店舗や組織で活用をスタートし、活用度を高めていく過程で利用範囲を広げるということも多く、売上や利益を維持・拡大していくためにエクスパンションのプロセスが重要になります。

 

4.プロダクトへのフィードバック

カスタマーサクセス担当が介在することで顧客の課題解決に貢献し、ビジネスの成功に寄与することも重要な役割ですが、同時にサービスの価値最大化に貢献することも重要な役割です。顧客に継続的に接点を持ち、顧客インサイトを得ているカスタマーサクセスが機能追加や機能改善に意見をすることでサービスの価値最大化に貢献をします。

 

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カスタマーサポートとは

カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせ(電話、メール、チャットなど)に対し、製品やサービスの使い方を説明したり、トラブルを解決したりする活動、あるいはその役割を担う部門を指します。

顧客が問題を抱えたタイミングで連絡を受ける「受動的(リアクティブ)」な対応が基本となり、いかに迅速かつ的確に問題を解決し、顧客満足度を高めるかが主なミッションです。

また、顧客から寄せられた声を収集・分析し、製品開発やサービス改善の担当部署へフィードバックするという、企業の品質向上に貢献する重要な役割も担っています。

カスタマーサポートの具体的な活動は、主に以下の3つに分類できます。

 

1. 問題の即時解決(トラブルシューティング)

カスタマーサポートの最も中心的な役割です。「製品が正常に動かない」「エラーが出る」といった顧客が直面している技術的な問題やトラブルに対し、原因を特定し、解決策を提示します。迅速かつ的確な対応を通じて、顧客がサービスを問題なく利用できる状態に復旧させることが目的です。この対応の質とスピードが、顧客満足度に直接的な影響を与えます。

 

2. 利用案内と情報提供

技術的なトラブルだけでなく、「特定の機能の使い方がわからない」「料金プランについて詳しく知りたい」「契約内容を確認したい」といった、製品やサービスに関する様々な疑問に答える役割です。顧客がサービスをスムーズに、そして安心して利用できるよう情報を提供し、疑問や不安を解消します。顧客自身が気づいていない便利な使い方を案内することもあります。

 

3. 顧客の声の収集とナレッジ化

カスタマーサポートは、顧客の生の声(VoC - Voice of Customer)が最も集まる部署です。寄せられた問い合わせや要望、クレームなどを収集・分析し、サービス改善のための貴重な情報として開発部門や企画部門へフィードバックします。また、よくある質問とその回答をFAQサイトやヘルプページとして整備(ナレッジ化)することで、顧客が自己解決できる環境を整え、サポート全体の効率化にも貢献します。

 

なぜ今カスタマーサクセスが求められるのか?ビジネスモデルの変化

なぜ今カスタマーサクセスが求められるのか?ビジネスモデルの変化

近年、なぜカスタマーサクセスという職種が注目されているのでしょうか。その背景には、ビジネスモデルの変化が大きく関係しています。

従来の「売り切り型」のビジネスとは異なり、SaaSに代表される「サブスクリプション型」のビジネスモデルが主流になりました。このモデルでは、顧客に継続的にサービスを利用してもらうことで利益が生まれます。

つまり、新規顧客を獲得するコスト以上に、既存の顧客に満足してもらい、解約を防ぐこと(LTVの最大化)が事業成長の鍵となります。そのため、顧客が問題を抱えるのを待つのではなく、企業側から能動的に働きかけて「成功体験」を提供し、長期的な関係を築くカスタマーサクセスの重要性が高まっているのです。

 

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カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、どちらも『顧客の課題を解決する』という目的と役割が似ていますし、実際カスタマーサポートチームを強化していくことでカスタマーサクセスチームを立ち上げるという進め方をしている企業も多いです。

ただし、以下のような重要なポイントで大きく違いがあります。

 

ミッション

両者の最も根源的な違いは、そのミッション(使命)にあります。

 

カスタマーサポート:問題解決でマイナスをゼロに

カスタマーサポートのミッションは、顧客が製品やサービスを利用する上で直面した問題やトラブルを迅速かつ正確に解決することです。例えば「ログインできない」「エラーが表示される」といった具体的な問い合わせに対し、正常な状態に復旧させることがゴールとなります。いわば、顧客が抱えるマイナスの状態をゼロに戻す、守りの役割を担います。

 

カスタマーサクセス:顧客の成功でゼロをプラスに

一方、カスタマーサクセスのミッションは、製品やサービスを通じて顧客が本来達成したかったビジネス上の「成功」(例:売上向上、業務効率化)を実現できるよう、能動的に支援することです。顧客のビジネスゴールを深く理解し、その達成に向けて伴走します。こちらは、ゼロの状態からプラスを生み出し、さらにそのプラスを最大化していく、攻めの役割と言えます。

 

課題解決のスタンス

ミッションの違いは、顧客へのアプローチ方法、すなわち課題解決のスタンスにも大きく影響します。

 

カスタマーサポート:受動的(リアクティブ)

カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせや要望があって初めて活動を開始する「受動的(リアクティブ)」なスタンスが基本です。顧客からのアクションを待つ、インバウンド型のコミュニケーションが中心となります。

 

カスタマーサクセス:能動的(プロアクティブ)

カスタマーサクセスは、顧客からの連絡を待つのではなく、利用データや顧客との対話から状況を分析し、課題が発生する前に「能動的(プロアクティブ)」にアプローチします。サービスの導入支援(オンボーディング)や、より効果的な活用方法の提案、定期的なミーティングによる目標進捗の確認など、先回りした働きかけで顧客を成功に導きます。

 

活動の時間軸

顧客と関わる時間軸にも明確な違いがあります。

 

カスタマーサポート:短期的・スポット的

カスタマーサポートが顧客と関わるのは、問題が発生した時点での「点」のコミュニケーションが中心です。問い合わせに対応し、問題が解決すればその役割は一旦完了します。そのため、関わる期間は短期的・スポット的になります。

 

カスタマーサクセス:長期的・継続的

カスタマーサクセスは、顧客がサービスを契約してから解約するまでの全期間にわたり、継続的に関係性を構築します。顧客のビジネスの成長段階に合わせて、中長期的な視点で伴走し続ける「線」のコミュニケーションを行います。この長期的な関係性を通じて、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指します。

 

主なKPI

それぞれの役割を評価するための指標(KPI)も大きく異なります。これは、組織が何を重要視しているかを明確に示しています。

 

カスタマーサクセスの主なKP

顧客との長期的な関係構築とビジネス成長への貢献度を測る指標が中心です。

 

チャーンレート(解約率):
顧客の成功を支援し、サービスを継続してもらうことが最重要ミッションであるため。

 

LTV(顧客生涯価値):
顧客との長期的な関係を通じて、取引期間中にもたらされる利益の総額を最大化するため。

 

アップセル/クロスセル率:
顧客の成功体験を創出し、より上位のプランや関連サービスへの利用を促進することで売上を拡大するため。

 

NPS®(ネットプロモータースコア):
顧客の成功が、サービスへの愛着や信頼(顧客ロイヤルティ)に繋がっているかを測るため。

 

カスタマーサポートの主なKPI

問い合わせ対応の「速さ」と「質」を測る、効率性を重視した指標が中心です。

 

CSAT(顧客満足度スコア):
一つひとつの問い合わせ対応に対する顧客の満足度を直接的に測るため。

 

初回応答時間/解決時間:
顧客が抱える問題をいかに迅速に解決できたか、対応スピードを測るため。

 

解決率:
一度のコンタクトで問題を完全に解決できた割合を示し、サポートの品質と効率性を評価するため。

 

収益への貢献

企業収益に対する貢献の仕方も、両者で捉え方が異なります。

 

カスタマーサポート:コスト削減による貢献

カスタマーサポートは、その性質上、人件費などのコストがかかる部門であり、「コストセンター」と見なされることが一般的です。そのため、業務の効率化やシステムの導入によってサポートコストを削減することが、企業収益への間接的な貢献となります。

 

カスタマーサクセス:売上増加による貢献

カスタマーサクセスは、企業の売上を直接的に生み出す「プロフィットセンター」と位置づけられます。解約率を低減させて安定した収益基盤を築き、さらにアップセルやクロスセルを促進することで既存顧客からの売上を最大化し、企業の持続的な成長に直接的に貢献します。

 

顧客ロイヤルティを高めるという目的は一致しているものの、上記のように大きな役割の違いがあります。転職活動の観点から分かりやすく言えば、カスタマーサクセスは「営業経験/スキル」があると歓迎されるのに対しカスタマーサポートは「営業経験/スキル」は重要視されません。求められる能力が大きく異なるためカスタマーサクセスとカスタマーサポートのチームを分けて設置している企業が大半です。

 

9Eキャリアカスタマーサクセスの転職支援サービスは、カスタマーサポートからカスタマーサクセスへキャリアチェンジを目指す方の転職支援実績が数多くございます。

また、ご希望によってはカスタマーサクセスとカスタマーサポートを併願しすることも可能です。

カスタマーサポートからカスタマーサポート職へキャリアチェンジしたい方はぜひ以下ボタンより、面談予約してください。

 

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この記事の監修者

藤井 大旗

ウェディング業界を経て、新規の人材紹介事業の立ち上げに参画。20代若手層を中心に、キャリアアドバイザー業務とオペレーション構築を担う。立ち上げから約2年で、チームとしてGoogle口コミ★5を100件以上獲得する実績を残す。


現在は株式会社9Eにて、カスタマーサクセス職やSaaS/IT業界セールス職、および自身の経験を基にしたキャリアアドバイザー職の転職支援を専門とする。▶︎詳しく見る

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